第39回中国地方経済懇談会の共同会見における米倉会長発言要旨

2011年1月25日
(社)日本経済団体連合会

【日本経済の現状と展望】

景気対策の効果も弱まりつつある中、景気回復は一段落の感がある。円高が定着し、厳しい雇用情勢の下で、個人消費も鈍化している。幸い住宅投資が低水準ながら持ちなおし、またアジアの成長に支えられて輸出が回復、生産は持ち直している。しかし設備過剰感が残っており、設備投資には慎重な姿勢が続いている。
今年後半以降、世界経済の持ち直しに伴い、日本経済の好転が期待される。ただし、円高や欧州の金融不安、米国経済の動向など注視すべき点もあり、新成長戦略を着実に実現していく必要がある。

【春季労使交渉(「春の労使パートナーシップ対話」)について】

経団連は定昇を容認したと言われるが、定昇を維持するかどうかも議論されるのではないか。連合の主張する給与総額の1%引き上げは難しい。経営労働政策委員会報告のとりまとめにあたって、各地の経済情勢等を聞いたところ、賃金より雇用重視の交渉になろうとの指摘が多かった。それぞれの企業が支払能力をふまえ、労使交渉を行って決定すべきである。

【TPPについて】

TPPが締結されても、全ての品目の関税が即時撤廃されることはない。政府は、昨年11月に、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定し、農業の構造改革や人の移動などの課題に取り組むとしている。TPPの交渉は今年11月には終了すると見込まれることから、日本が参画するためには6月頃が期限になると思われる。早期に農業構造改革の基本方針を打ち出すとともに、具体的な取り組みを進めることが必要である。経団連としても、農工商連携などの協力を進めていく。

以上

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