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月刊 経団連 最新号

月刊 経団連2024年4月号

特集 国際標準戦略のあり方

巻頭言

「技術・職人立国」を目指して

澤田 純 (経団連副会長/日本電信電話会長)

昨今、日本企業の信頼を揺るがす大規模な不祥事が相次いでいる。大手自動車メーカーの認証不正、大手電機メーカーの不正検査や不正会計、そしてNTTグループにおける個人情報の不正流出。その根底には、これまで通りにすればよいという現状維持バイアスや同調圧力、事なかれ主義、ノルマへの極度のプレッシャーと心理的安全性のない職場風土などがあったと思われる。

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特集

国際標準戦略のあり方

国際標準の獲得を含むルール形成は、グローバルな市場の創出や国の産業競争力に直結する。標準・規格作りの取り組みはこれまで欧米諸国が先行してきたが、加えて近年は、国際標準化機構(ISO)の専門委員会における議長ポスト獲得など中国のプレゼンスが増大している。他方、わが国では、企業の標準化に関わる体制構築の遅れに加えて、人材の不足・高齢化が深刻化している。急速な少子高齢化に伴う人口減少など、構造的な要因によって国内市場が先細る中、国際標準を戦略的に活用してグローバルな市場を切り拓いていくことは、わが国の持続的な成長にとって不可欠である。

座談会:わが国の国際標準戦略のあり方

  • 津賀 一宏(経団連副会長・知的財産委員長/パナソニック ホールディングス会長)
  • 野田 由美子(経団連副会長・環境委員長/ヴェオリア・ジャパン会長)
  • 羽生田 慶介(オウルズコンサルティンググループ代表取締役CEO)
  • 和田 茂己(司会:経団連知的財産委員会国際標準戦略タスクフォース座長/日本電気Corporate SVP兼コーポレート事業開発部門長)
  • ■ 国際標準を取り巻く動向
  • 日本の標準化活動に関する産業界の問題意識
  • 欧・米・中における国際標準の位置付けと狙い
  • 国際標準を含むルール形成をめぐる欧州の動向と実態
  • ■ Society 5.0 for SDGs実現に向けた日本の勝ち筋
  • 日本の価値観に共感してくれる国を仲間に
  • 環境や高齢化への対応は日本の強み
  • 世界に向けて訴求できる日本の「価値」
  • ■ 戦略的な仲間づくりと人材確保・育成のあり方
  • アジェンダに応じて適切な相手と連携
  • 企業における人材確保・人材育成
  • 企業において必要とされる人材像やエコシステムの再構築
  • ■ 産業界や政府の役割、今後の具体的なアクションプラン
  • 経団連や政府への期待
  • 企業としての標準化への取り組み、政府への期待
  • 経団連の取り組みや政府への期待

総合的な「国家標準戦略」の確立に向けて
 高市 早苗(内閣府特命担当大臣(知的財産戦略))

  • 「国際標準戦略」の重要性
  • 主要国の対応とわが国の課題
  • 今後の政策対応の方向性

日本産業標準調査会の役割
―経営戦略と標準化
 遠藤 信博(経団連副会長・知的財産委員長/
日本産業標準調査会(JISC)会長、日本電気特別顧問)

  • 日本産業標準調査会(JISC)の役割(国内・国外)
  • 変質する標準化と、それを受けた「日本型標準加速化モデル」取りまとめ
  • その背景にあるマーケット構造の変化
  • JISC会長として抱く危機感と今後への期待

標準化とルール形成の変化
―日本規格協会の取り組み
 朝日 弘(日本規格協会(JSA)理事長)

  • わが国の標準化施策の経緯と現在
  • ルール形成をめぐる変化
  • 総合的標準化機関として

責任あるAIイノベーションを加速させる国際規格のあり方
 セルジオ・ムヒカ(国際標準化機構(ISO)事務総長)

  • AIのリスクと機会
  • ISOシステムの利点
  • AIガバナンスの枠組み

社会課題起点のルール形成
―政府、企業、専門ファームによるエコシステム構築の必要性
 市川 芳明(多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授)

  • 社会課題起点のルール形成の必要性
  • 東京エフェクトを発動するためのアプローチ
  • 三位一体のエコシステムを構築すべき

Beyond 5G/6Gの標準化戦略
 徳田 英幸(情報通信研究機構(NICT)理事長)

  • 国際標準化をめぐる動向
  • 標準化における産業界との連携拡大
  • 標準化人材の育成確保

技術で勝ち、ビジネスでも勝つ日本企業への処方箋
 齋藤 拓也(日本知財標準事務所(JIPS)所長・弁理士)

  • 「QRコード」が示す国際標準化のポテンシャル
  • 「クール宅急便」の国際標準化は外国事業者の認証により品質を保証
  • 標準化はトップダウンの仕事
  • ルールメーキング・ブースターとして外部人材を活用
  • 最後は黒字がチームを強くする

貿易や経済的繁栄、社会的便益に国際標準が果たす役割
 スコット・スティードマン(英国規格協会(BSI)グループ
エグゼクティブスタンダードディレクター)

【提言】
グローバルな市場創出に向けた国際標準戦略のあり方

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/013.html
 津賀 一宏(経団連副会長、知的財産委員長/パナソニック ホールディングス会長)
 遠藤 信博(経団連副会長、知的財産委員長/日本電気特別顧問)
 時田 隆仁(経団連審議員会副議長、知的財産委員長/富士通社長)

  • 描くべきグランドデザイン
  • 取るべき戦略
  • エコシステムの構築・強化のための具体的方策
  • 今後の具体的なアクション(提言後のフォローアップ)

鼎談:国際標準化最前線 ─人材・体制をめぐる課題

  • 梅津 克彦(ヤマト運輸エグゼクティブフェロー兼
    CSO(最高標準化責任者)担当)
  • 永沼 美保(日本電気デジタルトラスト推進統括部
    主席プロフェッショナル)
  • 山中 美紀(ダイキン工業CSR・地球環境センター
    環境製品グループ担当部長)

  • ■ 国際標準化との出会い
  • 環境に配慮した「冷媒」の新しいルール作りを経験
  • 公開仕様書を策定して働きかけ、ISOの発行へ
  • 世界は、日本が思っている以上に動いている
  • ■ 国際標準化の最前線における実態
  • 仲間づくりが多様化し、標準化の対象も変わってきた
  • インドの台頭、いかにISOに巻き込むかが課題
  • 食料はグローバルアセット、ISOの捉え方に各国の違いも
  • 透明性が求められ、ISOを支える技術が必要
  • ■ 標準化人材の育成における課題
  • 経験者のノウハウを承継する人事制度が必要
  • リーダーとして成長できる人材を教育することが必要
  • 標準化に携わる人材をどのように評価するかが課題
  • 経営サイドは標準化チームに託すことも重要
  • 標準化の世界には“仕掛ける楽しさ”がある

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一般記事

【提言】
博士人材と女性理工系人材の育成・活躍の推進に向けて

―提言およびアンケート結果の概要
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/014.html
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/015.html
 小路 明善(経団連副会長、教育・大学改革推進委員長/
アサヒグループホールディングス会長)
 橋本 雅博(経団連教育・大学改革推進委員長/住友生命保険会長)

  • 博士人材の育成・活躍を推進する意義と目指すべき姿
  • 博士人材をめぐる日本企業の現況
  • 博士人材の育成・活用に向けて取り組むべき施策
  • 女性理工系人材の育成・活躍に向けて

【提言】
経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する提言

―戦略的優位性・不可欠性の維持・強化につながる制度の創設に向けて
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/012.html
 片野坂 真哉(経団連外交委員長/ANAホールディングス会長)
 大林 剛郎(経団連外交委員長/大林組会長)

  • ■ 提言の概要
  • 制度設計にあたっての基本的な考え方
  • 具体的な方向性
  • ■ 政府への働きかけと経団連の今後の取り組み

【報告】
安全・安心なサイバー空間を通じた価値共創に向けて

―日英サイバー協力ミッションを派遣
 遠藤 信博(経団連副会長、サイバーセキュリティ委員長/日本電気特別顧問)

  • ミッションの主な成果
  • ミッションの成果を踏まえた今後の取り組み

【報告】
「企業行動憲章」の実践状況や課題を把握

―第3回 企業行動憲章に関するアンケート結果
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/005.html
 吉田 憲一郎(経団連審議員会副議長、企業行動・SDGs委員長/ソニーグループ会長)
 西澤 敬二(経団連審議員会副議長、企業行動・SDGs委員長/損害保険ジャパン顧問)
 中山 讓治(経団連企業行動・SDGs委員長/第一三共常勤顧問)

  • 企業行動憲章の実践状況
    ─ 「GXの推進」を最重視
  • “Society 5.0 for SDGs”への取り組み
    ─ SDGsを活用した報告とコミュニケーションが伸展
  • 「ビジネスと人権」に関する取り組み
    ─ 国連の指導原則に基づく取り組みが進展
  • 社会性の視座に立脚した企業行動の実践に向けて

【報告】
マルチステークホルダーとの価値共創

―「2023年度企業行動憲章シンポジウム」を開催
 (経団連SDGs本部)

  • 開会・基調講演(筒井義信経団連副会長・日本生命保険会長)
  • アンケート結果報告
  • 来賓講演:「ポストデジタル×ポストパンデミック」の時代、企業は「価値づくり」のレンズをかけ替えることが必要(藤川佳則 一橋大学大学院経営管理研究科教授)
  • パネル討議:パーパスやミッションを踏まえ、多様なステークホルダーと価値を共創

心のバリアフリーへ、タスキつなぐ
―2024年秋号砲!「ダイバーシティ駅伝47」
 高橋 尚子(ダイバーシティ駅伝47応援団長)

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