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月刊 経団連 巻頭言 日中両国のさらなる「絆」を深める

大坪文雄 (おおつぼ ふみお) 経団連審議員会副議長/パナソニック社長

本年2012年は、日中国交正常化40周年という節目を迎える年である。

日中両国は1972年の国交正常化以来、経済交流や人的往来の拡大などにより、あらゆる分野において相互理解、信頼関係を深化させてきた。

わが国と中国の協力関係は、両国のみならず、アジア全体、さらには世界の持続的な発展を実現していくうえで極めて重要な役割を担っている。

昨年採択された第12次5カ年計画において、中国は経済成長モデルを「量的拡大」から「質的向上」に転換した。そして、その政策の柱の一つとして「環境保護・省エネルギー分野」を掲げ、資源節約型の環境に優しい社会を目指そうとしている。日本の強みである環境技術や省エネルギーに関するノウハウを最大限に活かし、隣人である中国の環境問題の解決に多面的に貢献していきたい。

こうした経済交流に加え、さまざまな交流を積み重ねることで両国の絆を一層深め、さらなる相互理解の増進を図ることが重要である。すでに、官民あげたオール・ジャパンの体制として、2012「日中国民交流友好年」実行委員会が立ち上がり、国交正常化40周年にふさわしい記念事業が始まっている。

具体的には、将来の日中関係を担う青少年交流や地方間交流、文化・スポーツ交流、草の根交流、観光交流、そして東日本大震災の被災地支援など、両国の国民が幅広く参加できる交流事業が計画されている。国民レベルでの交流が積み重ねられることで、両国の友好関係がさらに深化するものと信じている。

1989年に初めて中国・深センを訪れたとき、道の至る所がくぼんでいた。しかしわずか数年後には、まちに高層ビルが立ち並んでいた。中国はいまも劇的な進化を続けており、今後もハイスピードで変わり続けることは想像に難くない。

40周年を契機として日中間の幅広い分野での交流が一段と深まり、未来志向の安定的な日中関係が構築されていくことを、心から期待する。

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