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月刊 経団連 座談会・対談 経営者が描く2030年の日本 「豊かで活力ある日本」の再生に向けて

武田洋子
三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員

木村 康
経団連副会長
JXホールディングス会長

佐々木則夫
経団連副会長
東芝副会長

斎藤勝利
経団連副会長
第一生命保険会長

畔柳信雄
経団連副会長
三菱東京UFJ銀行特別顧問

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畔柳信雄 (経団連副会長/三菱東京UFJ銀行特別顧問)
新ビジョンが掲げる国家像のなかでは「人口1億人を維持し、魅力ある都市・地域を形成する」を重視する。とりわけ「地域経済の発展・活性化」が重要である。そのための課題としては、地域における「雇用の場」創出、地域の「企画力」強化、日本の国際的信認の維持という3点が挙げられる。経団連としては、民間経済の代表であるという意識を持って、全雇用の7割を占める非製造業・サービス業・中小企業などの立場も取り入れつつ、政府・行政に働きかけていきたい。

斎藤勝利 (経団連副会長/第一生命保険会長)
新ビジョンの国家像のイメージにある「50年後の人口1億人維持」が最も重要なテーマだと考える。国家の根幹は人であり、人口こそ国の盛運を担っているからである。したがって、少子化対策と社会保障制度改革が喫緊の課題となる。これからの経団連には「一歩前に出た行動」が求められるだろう。利害の対立する問題からも目を背けることなく、また改革に対する抵抗勢力と思われることのないよう、「企業の積極果敢な行動を先導していく」存在でなければならない。

佐々木則夫 (経団連副会長/東芝副会長)
新ビジョンが掲げる国家像のなかでは「成長国家としての強い基盤を確立する」を強調しておきたい。政府には、グローバル企業が国際競争で不利を被らないよう、立地競争力を高める施策が求められる。とりわけエネルギーと税制は国の重要な基盤であり、イコールフッティングの確保が必要だ。経団連としては、法人税減税と消費税増税の問題にしても、原発の問題にしても、国民の感覚から遊離することなく、国民目線で考え、訴えていかなければならない。

木村 康 (経団連副会長/JXホールディングス会長)
新ビジョンが掲げる国家像のなかでは「地球規模の課題を解決し世界の繁栄に貢献する」が重要だと考える。日本の技術やノウハウを地球規模の課題解決に活用し、「世界とともに豊かになる」という視点に立って行動することが、グローバリゼーションの真意である。ビジョン実現の課題としては、「新たな通商戦略の構築」と「エネルギー政策の再構築」の2つを挙げたい。経団連としては、「国民とともに歩む経済団体」であることをアピールし、ビジョンを国民各層と共有していきたい。

武田洋子 (三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員)
三菱総研の「目指すべき未来社会像」は「心の豊かさをみんなが実感できる社会」をゴールとしており、経団連のビジョンが掲げる国家像と重なる部分は大きい。ビジョン実現に向け、経団連には、企業の人材への投資を強化すること、社会制度のイノベーションに率先して取り組むこと、日本全体で新しい価値をつくる「共創」に参加することが求められる。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催で、未来に素晴らしいレガシーを残すことが最初のチャレンジとなるだろう。

久保田政一 (司会:経団連事務総長)

  • ●2030年の国家像
  • 世界から尊敬される国になるために
  • 「50年後の人口1億人維持」が日本再生の試金石
  • 成長国家としての強い基盤を確立しなければならない
  • 世界が豊かになれば日本も豊かになる
  • 「モノ」の豊かさから「心」の豊かさへ
  • ●国家像実現のために鍵となる課題
  • 日本再生のための五つの鍵
  • 新たな通商戦略とエネルギー政策の構築が重要課題
  • 「税制のあり方」は「国のあり方」を表す
  • 少子化対策と社会保障制度改革が喫緊の課題
  • 地域経済の発展・活性化のために思い切った規制改革を
  • ●経団連の行動
  • 民間経済の代表という意識を持つ
  • 「一歩前に出た行動」を
  • 社会制度のイノベーションを意識して行動する
  • 「国民とともに歩む経済団体」であることをアピールする
  • 日本全体で新しい価値をつくる「共創」

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