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月刊 経団連 座談会・対談 わが国経済外交のあり方

古城佳子
東京大学大学院総合文化研究科教授

宮家邦彦
外交政策研究所代表

大林剛郎
経団連経済外交委員長
大林組会長

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大林剛郎 (経団連経済外交委員長/大林組会長)
国際情勢は非常に不安定な状況であると認識している。今後、日本国内の市場の縮小が見込まれるなか、日本企業は、世界のマーケットに出て行かざるを得ない。今ほど政官民が一体となってグローバル化を推進する気運が高まったことはない。企業は自らリスク管理に万全を期すとともに、政府にはインテリジェンス機能のさらなる強化と積極的な支援を期待する。また、経団連としては、ミッションや国際フォーラムを通じた民間経済外交を積極的に推進したい。

宮家邦彦 (外交政策研究所代表)
冷戦終焉後、各地で民族主義が復活し、不健全なナショナリズムが台頭している。暴力的に現状変更を行おうとする国も出現し、世界情勢は極めて不安定な状態にある。日本はこうした巨大な変化のなかで生き残らなければならない。外交とは軍事以外の方法で国益を最大化する国際政治の技術である。こうした観点から、日本の経済外交に求められるのは、国家レベルの戦略のなかに経済を位置付けること、地政学的な視点を持ったエコノミストを育成することである。

古城佳子 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
経済外交の目的には、資源・エネルギー・食料の安定供給を確保すること、海外に市場を確保し利益を国内に還元することなどがある。これを実現するためには安定的な経済秩序が必要であるが、グローバル化の進展により既存の国際制度が機能しにくくなっている。より自由で公正な開かれた市場を確保していくために、国際制度のルール・メーキングに積極的に日本は関与していくべきである。ルール・メーキングの場では経済力が発言力につながるため、政府と民間が協力して日本のプレゼンスを高めることが重要である。

椋田哲史 (司会:経団連専務理事)

  • ●わが国を取り巻く国際情勢に関する現状認識
  • 冷戦後の「民族主義」と「旧帝国的発想」の復活
  • 国際情勢は予測不可能な段階に入った
  • 日本の相対的なプレゼンスは低下
  • 不安定な状況は拡大する、
    政官民共同での危機管理を
  • ●経済外交の推進に向けた課題について
  • 日本の経済外交における企業の役割
  • 資源・エネルギー、食料安全保障の確保・強化を
  • 地政学的な視点を持ったエコノミストの育成を
  • ●経済外交における官民連携の重要性
  • 役所が「省益」を守る時代の終焉
  • 政府への民間の要望は一本化すべき
  • 危機管理などの「守り」とルール・メーキングなどの「攻め」
  • ●日本の経済外交のあるべき姿
  • ミッションや国際フォーラムを通じて各国官民メンバーとの連携を強化
  • 企業がリスクを取って、初めて政府も支援可能
  • 国際社会における日本のプレゼンス

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