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月刊 経団連 座談会・対談 日米経済関係のさらなる拡大と深化に向けて

久保文明
東京大学大学院法学部政治学研究科教授/21世紀政策研究所研究主幹

村瀬治男
経団連副議長・アメリカ委員長
キヤノンマーケティングジャパン会長

藤崎一郎
日米協会会長/前駐米日本大使

石原邦夫
経団連副会長・アメリカ委員長
東京海上日動火災保険相談役

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石原邦夫 (経団連副会長・アメリカ委員長/東京海上日動火災保険相談役)
日系企業の経済面や雇用創出面での貢献を示しつつ、日米経済関係の重要性を訴えることが今回のミッションの大きな目的であった。要人との対話、全米各地でのプレゼンを通じて、そのことが認識されたと感じている。日米経済関係における第一の課題は、TPPの早期・ハイレベルの妥結である。経済的利益を超えた安全保障上の意味も大きい。良好な日米関係をさらに発展させるためには、重層的かつ多層的な交流を図ることが大切である。経団連アメリカ委員会としては、今後も米国要人との対話を活発に行っていきたい。

藤崎一郎 (日米協会会長/前駐米日本大使)
日米関係が新たな局面を迎えているのは、日本経済が復活しつつあるからである。日本が米国にとって大事なパートナーであるためには、強い経済を維持することが欠かせない。各州は日本の投資に強い関心があり、今回、経済界が直接地方に働きかけたのは画期的である。ぜひ続けてほしい。また、現地支社・支店による社会貢献を引き続き奨励してほしい。

村瀬治男 (経団連副議長・アメリカ委員長/キヤノンマーケティングジャパン会長)
日米関係は大切な二国間関係であるが、これは決して東京とワシントンの関係だけではない。今回のミッションでも感じたが、日本の地方自治体と比べて米国の州はその成り立ちからしても強い権限を持っており、企業誘致、産業振興など、知事を先頭に積極的に取り組んでいる姿が実感できた。ともすれば東京とワシントン、ニューヨーク、シリコンバレーの関係で物事を考えがちであるが、やはり幅広く人と人、草の根レベルの交流が大切だと考えている。日本は現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったことを機に国際関係の一層の強化を図っているが、市民レベルの交流が促進されるような具体的なプログラムを官民で立ち上げて行く必要があると思う。

久保文明 (東京大学大学院法学部政治学研究科教授/21世紀政策研究所研究主幹)
今回の経団連ミッションは、米国におけるわが国のプレゼンスを高めるうえで、大きな貢献をしたと考えている。中国経済の魅力が低減するなか、今は日本の重要性をアピールする好機である。その意味で、経団連のワシントン事務所が再び開かれたことは、大変喜ばしい。日本経済の魅力、日本企業の米国での貢献などを発信することを期待している。

久保田政一 (司会:経団連事務総長)

  • ●経団連訪米ミッションを振り返って
  • 州経済における日系企業の貢献を実感
  • 州が強い権限を持っていることを再認識
  • 米国の重要なパートナーとなるために欠かせない強い経済
  • 日本企業による投資・雇用創出が、日本のプレゼンスを高める
  • ●日米関係における課題と取り組み
  • 草の根レベルでの交流が大切
  • TPPの妥結に向けて、経済界の後押しが必要
  • 同盟国としての日本の価値は上昇
  • 日米関係強化の方向性は、吉田・岸内閣の時代から不変
  • ●日米関係のさらなる強化に向けて
  • 2020年に向け、市民レベルの交流を促進
  • 日米関係は三つの「NO」が鍵
  • 3・11における米国の支援を顕彰する組織の設立を
  • 重層的かつ多層的な交流を図ることが大切

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