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月刊 経団連 巻頭言 経済再生を確実に実現する

榊原定征 (さかきばら さだゆき) 経団連会長

経団連は、昨年1月に、2030年までに目指すべき国家像を描いた将来ビジョンを公表した。アベノミクスの「新三本の矢」が目指す目標は、このビジョンで掲げた目標と軌を一にするものであり、その実現に向け、経団連としても最大限協力をしていく所存である。

今年は、GDP 600兆円経済に向けたしっかりとした道筋をつける年としたい。その第一歩として、デフレ脱却と経済再生を確実に実現するため、政・官・民が連携し、あらゆる政策や手立てを総動員しなければならない。

経団連は、企業こそが経済成長を担う主役であるとの自覚のもと、デフレマインドの払拭、積極果敢な経営の推進による、経済の好循環の実現に向けて主体的に取り組む。とりわけ、IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能等を駆使した生産性の抜本的な改善を図る投資や、有望成長分野への投資を促進する。また、収益が拡大した企業に対し、昨年を上回る年収ベースの賃金引き上げを期待して、前向きな検討を呼びかけていく。

政府には、重要政策課題を強力に推進していただきたい。具体的には、企業活力の向上に資する税制改革、大胆な規制・制度改革などが必要である。エネルギーの安定供給と経済性の確保に向けては、安全性が確認された原子力発電所の再稼働プロセスの加速、再生可能エネルギーの固定価格買取制度や地球温暖化対策税の見直しが不可欠である。また、経済・財政一体改革に沿った、社会保障給付の適正化・効率化と保険料負担増の抑制も重要である。

経済連携については、大筋合意に至ったTPP協定の速やかな発効を促すとともに、日中韓FTAおよびRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を早期に妥結し、2020年までにFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を構築するよう、関係各方面に働きかける。日EU EPAの早期実現も求めていく。

皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげる。

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