Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年7月12日 No.3093  リスクマネジメント講座開講 -企業が抱えるリスクに迅速・適切に対応するために

経団連事業サービス(米倉弘昌会長)は3日、東京・大手町の経団連会館で「リスクマネジメント講座」を開講した。同講座では、西村あさひ法律事務所の協力を得て、「企業不祥事」「情報漏洩」「訴訟」「海外進出」など企業が抱えるリスクに迅速・適切に対応することを目的に、これらの分野に精通した弁護士がリスクマネジメントの要諦と最新情報を提供する。

第1回のテーマは「企業不祥事」。西村あさひ法律事務所の伊藤鉄男弁護士から「組織の根幹を揺るがす危機への対応について」と題する講義を聞き、参加者と意見交換を行った。伊藤弁護士は、大阪地検特捜部事件(大阪地検特捜部による厚生労働省課長の事件捜査で、主任検事が証拠品を改ざん)に、最高検察庁次長検事として危機の対応に当たった経験をもとに、「問題発生後の対応」と「防止策」を説明した。

■ 企業不祥事-問題発生後の対応と防止策

問題発生後の対応については、(1)第一報受理から初動調査までの間は、できる限り早く事実の概要・大枠を把握することが重要。証拠隠滅や口裏合わせは不祥事でなく犯罪の領域であるとの認識が不可欠(2)調査にあたっては、スピード、調査の主体の選び方、徹底した真相解明が重要(3)マスコミに対しては、いずれにせよ取材され報道されると考え、正面から向き合って、正確な報道が行われるよう努めることが重要――と説明した。

また、防止策については、平時から他社の事例を「わが社で起きたらどうするか」という視点で見て、備えをしておくべきであると指摘したうえで、(1)組織の要は人であるが、他方で人を信用し過ぎると失敗する(2)スタープレーヤーや花形部署が期待に応えようとして不祥事を起こすことは少なくなく、教育を充実させ、違反を起こすことができないシステムづくりに力を入れる必要がある――と説明した。

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リスクマネジメント講座は今後、「従業員による情報漏洩、情報流出がもたらすリスク」「役職員による不正発覚時における初動対応と留意すべきポイント」「責任追及訴訟、株主代表訴訟」「従業員の違法行為に対する使用者責任、政治献金・選挙応援、総会屋・反社会的勢力をめぐるリスク」「海外進出に伴うリスクと危機管理」をテーマに開催する。

詳細に関する問い合わせは経団連事業サービス研修担当(電話03‐6741‐0042)まで。

「企業不祥事」をテーマに開かれたリスクマネジメント講座

【経団連事業サービス】