Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年7月26日 No.3095  エネルギー政策に関するシンポジウム -関経連と共催、約320名が参加して開く

経団連は23日、東京・大手町の経団連会館で、関西経済連合会(関経連、森詳介会長)と共催でエネルギー政策に関するシンポジウム「わが国のエネルギー・環境政策のあり方-選択肢の国民的議論に向けて」を開催した。シンポジウムは、6月29日に「エネルギー・環境に関する選択肢」として政府から提示された三つのシナリオに対する理解を深めることを目的に企画された。経団連から、井手明彦審議員会副議長・資源・エネルギー対策委員長、進藤孝生環境安全委員会地球環境部会長、関経連から藤洋作地球環境・エネルギー委員長が登壇し、約320名の参加を得た。

シンポジウムには約320名が参加した(23日、経団連会館)

選択肢の三つのシナリオ読み解くパネル討論実施

あいさつする井手委員長

冒頭、井手委員長から「エネルギー政策の議論は、将来の国民生活や産業社会に大きな影響を及ぼすため、冷静に合理的な議論を行うことが重要である。今回のシンポジウムを、政府が示した各シナリオの理解を深める一助としてほしい」とあいさつがあった。

続いて、21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹が基調講演を行い、各シナリオの内容および国民生活や企業活動に与える影響等について説明があった。その後、パネルディスカッションが行われた。

パネルディスカッションではまず、地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾グループリーダーから、政府の「エネルギー・環境会議」の委託を受けて行った経済モデルによる分析を踏まえ、「各シナリオのCO2削減目標、再エネ比率が厳しすぎるため、これらによる経済影響が大きくなる」との解説があった。

進藤部会長からは、「三つのシナリオはいずれも非常に問題が多い」として、(1)政府自身の成長戦略と整合性がとれておらず、成長戦略どおりの成長が実現された場合、エネルギーが不足する(2)省エネルギーや再生可能エネルギーの導入見通しが非常に楽観的であるうえ、高いコストがかかる(3)どのシナリオも電力料金の大幅な上昇、経済の悪化を許容している――という各シナリオ共通の問題を指摘し、三つのシナリオのなかからどれかを選ぶのは非常に難しいとの意見が述べられた。

日立造船の谷所敬常務は、関経連のエネルギー政策に対する提言の内容や、自社のエネルギー問題への取り組みの紹介を行った。

日本基幹産業労働組合連合会の弥久末顕事務局次長からは、労働界からの意見として、各シナリオにおける雇用の影響への懸念が述べられた。

シンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美副代表からは、国民的議論に関する問題の情報発信の難しさについて指摘があった。

以上の議論を踏まえ、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた澤研究主幹から、全体の意見を総括した後、藤委員長が閉会あいさつを行い、シンポジウムは閉会した。

シンポジウムでのパネルディスカッション

【環境本部】