Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年8月2日 No.3096  「電子行政オープンデータ戦略」と「欧州におけるオープンデータ政策の現状と日本の課題」を聞く -電子行政推進委員会電子行政推進部会

経団連は7月18日、東京・大手町の経団連会館で電子行政推進委員会電子行政推進部会(遠藤紘一部会長)を開催した。当日は、内閣官房副長官補室の奈良俊哉内閣参事官から「電子行政オープンデータ戦略」について、NTTデータ企画調整室IT政策推進グループの高木聡一郎課長代理から「欧州におけるオープンデータ政策の現状と日本の課題」について説明を聞いた。説明概要は次のとおり。

■ 「電子行政オープンデータ戦略」について

政府のIT戦略本部では、昨年8月に決定された「電子行政推進に関する基本方針」に基づき、電子行政に関するタスクフォースにおいてオープンガバメントについて検討を重ねてきた。今年の7月には、公共データの活用促進に集中的に取り組むため、「電子行政オープンデータ戦略」を策定した。同戦略により、行政の透明性・信頼性の向上、国民参加・官民協働推進、経済活性化・行政効率化を目指す。政府自らが積極的に公共データを二次利用が容易な形式で公開するなどの基本原則に基づき、今年度以降、総務省、経済産業省で実証事業を進める。また、そのための環境整備に速やかに着手する。推進体制として内閣官房に官民による実務者会議を設置し、実証事業の結果等を踏まえ、今後の施策の検討やロードマップの策定、フォローアップなどを行う。

■ 「欧州におけるオープンデータ政策の現状と日本の課題」について

欧州では公共データの公開ならびに民間での再利用による透明性の向上、経済の活性化、公共サービスの向上を目的としてオープンデータに取り組んでいる。2003年のEU指令により、公的機関が保有する情報が再利用できる場合には、商業・非商業目的を問わず当該情報が再利用可能であることを確保すべきとしており、09年以降、急速に取り組みが進展している。

具体的には、公的機関が保有するデータをポータルに集約し、民間がデータを組み合わせて活用してサービス提供を行うのが基本的なモデルであり、郵便番号から地図を検索するサービスなどがある。

オープンデータの取り組みには、戦略立案・推進体制の確立、著作権の整理、データ公開手順やフォーマットなどの規定の整備、民間ニーズの把握、公開データの選定、ポータルの整備といったプロセスが必要である。

日本でも官民での取り組みが始まっているが、特にデータ公開を主導する体制の整備や民間ニーズの把握など、長期的かつ戦略的に取り組むアプローチが求められる。

【産業技術本部】