Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年9月27日 No.3102  新たな宇宙基本計画に向けた課題で説明聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会合同会合

経団連は13日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会企画部会(笹川隆部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。当日は、前宇宙開発戦略本部事務局長の山川宏・京都大学生存圏研究所宇宙圏航行システム工学分野教授から、新たな宇宙基本計画に向けた課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。
山川教授の説明の概要は次のとおり。

■ 宇宙開発戦略本部事務局長としての取り組み

2010年7月から今年7月まで宇宙開発戦略本部事務局長を務めた。

昨年9月に「宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制の構築について」が閣議決定された。今年2月には内閣府設置法の改正法案が国会に提出され、6月に成立、7月に内閣府宇宙戦略室が設置された。この間、事務局長として、国家戦略としての宇宙政策を実現するため、戦略的な推進体制を構築することを目指し、関係省庁との調整や与野党の国会議員への説明を行った。

内閣府設置法の改正により、宇宙政策の司令塔機能だけでなく実施機能を果たすため内閣官房の事務機能を内閣府に移すとともに、準天頂衛星システムの整備などに必要な多額の予算を扱えるようになった。

■ 新たな宇宙基本計画に向けて

今年7月に、新たに設置された宇宙政策委員会の委員に就任した。同委員会は8月に経費の見積もり方針を取りまとめており、今後10月から11月にかけて各省の概算要求についてフォローアップする。12月には宇宙基本計画に関する報告書を取りまとめることになっている。

現在の宇宙基本計画は2009年度から13年度までの5カ年計画であるが、政府の大きな組織改革があったことと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中期計画が今年度で終わることから、来年度以降の新たな宇宙基本計画を策定する。

宇宙政策の推進にあたっては、国益と国際競争力という観点が一番重要である。宇宙空間の開発利用を戦略的に推進するために、宇宙産業基盤の維持および高度化が必要である。また、安全保障に関する宇宙の利用拡大や海外展開の促進が非常に重要である。

<意見交換>

「準天頂衛星以外に、内閣府の所掌事務についての具体的なイメージはあるのか」との質問に対して、山川教授は「衛星による地球観測があり得るが、具体的な話にはなっていない」と答えた。

【産業技術本部】