Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年10月11日 No.3104  東海地方経済懇談会を開催 -「決断と実行で日本を再生する」テーマに

経団連は4日、中部経済連合会(中経連、三田敏雄会長)、東海商工会議所連合会(東海連、高橋治朗会長)と、名古屋市内のホテルで「東海地方経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長はじめ審議員会議長、副会長らが、東海経済界からは、中経連の三田会長、東海連の高橋会長をはじめ会員約250名が参加し、「決断と実行で日本を再生する」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで中経連の三田会長は、中部経済の情勢について、世界景気の減速等を背景に回復の動きに足踏みがみられるとして、先行きへの懸念を示すとともに、いわゆる「6重苦」により産業の空洞化が進み、ものづくりが危機に直面していると指摘した。そのうえで、将来を見据えて次代をリードする新産業の育成・強化を図る必要があるとの認識に立ち、中部地域では、(1)航空宇宙産業の振興(2)観光産業の振興(3)次世代自動車産業の振興――に力を入れ、「世界のものづくりのトップランナー」を目指していると述べた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は、冒頭、浜岡原発における国民の信頼回復に向けた安全対策への取り組みに敬意を示した。その後、第三次野田内閣の発足を受けて取りまとめた「新内閣に望む」について説明。内政・外交ともに厳しい状況に直面するなか、新内閣に対して、政治の強いリーダシップの下、重要政策課題を推進する必要があり、特に国民・国益本位の観点から、与野党協力による特例公債法案の成立、衆議院の選挙制度改革の推進の必要性を強調した。あわせて「震災からの復興」「経済成長の戦略の実行」「エネルギー・環境政策の再構築」「社会保障制度改革の推進」「TPP交渉への参加を梃子とする経済連携の推進」「外交・安全保障政策の強化」の6点に関して、より一層の取り組み強化を求めた。

わが国経済の再生に向けた重要政策めぐり意見交換
政策課題に対する取り組みについて報告も

■ 活動報告

米倉会長のあいさつに続いて、経団連および東海経済界双方から、政策課題に対する取り組みについて、内外での進捗状況を含めて報告があった。経団連からは、渡辺捷昭、斎藤勝利、西田厚聰、三浦惺、勝俣宣夫、大塚陸毅、畔柳信雄、奥正之、大宮英明の各副会長から、経団連として早急かつ重点的に推進すべき重要政策である税制改革、社会保障改革と財政再建、エネルギー問題への対応、農業の成長産業化、経済連携の推進、観光立国の実現、道州制の推進、会社法制の見直しへの取り組み、宇宙産業の振興の九つの課題について報告。

一方、東海経済界からは、河野英雄中経連副会長、立花貞司名古屋商工会議所副会頭から、地域経済の活性化に向けた課題を中心に、観光振興、異業種交流展示会「メッセ・ナゴヤ」・国際見本市の開催の二つのテーマについて活動報告があった。

■ 意見交換

続いて、わが国経済の再生に向けた重要政策をめぐり、今後の方向性や具体的な推進方策について意見交換。東海経済界から、(1)わが国産業の競争力の再生(2)防災・減災に向けた取り組み(3)人材育成(4)キャリア教育の推進(5)リニア中央新幹線の建設(6)道路インフラ整備――など主に六つのテーマについて問題提起があった。

これに対して経団連からは、(1)6重苦への対応をはじめ、諸外国の企業と同じ土俵で戦える事業環境整備が必要であり、経団連では規制改革の推進に取り組んでいる(小島順彦副会長)、(2)社会全体で防災・減災に取り組む必要があり、東海経済界とも連携を図ることが必要(荻田伍副会長)、(3)経団連でもグローバル人材の育成に向けて、スカラーシップ事業を展開中。求める人材の具体像を共有し、官民連携で取り組むことが重要(渡文明審議員会議長)、(4)早い段階から職業観・職業意識を高め、主体的な進路選択が可能となるよう、キャリア教育プログムの編纂などに産学官が連携・協働して取り組むことが必要(篠田和久副会長)、(5)リニア中央新幹線や関連施設などのインフラを活用し、道路・鉄道網を重点的・計画的に整備することで、経済波及効果の最大化を図る(宮原耕治副会長)、(6)社会資本の整備と広域ネットワークの形成にあたっては、選択と集中という考えの下、競争力強化、効率化につなげるとの観点が重要(石原邦夫副会長)とのコメントがあった。

【総務本部】