Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年11月1日 No.3107  北海道経済懇談会を札幌で開催 -「日本の再生と北海道の貢献」テーマに

あいさつする米倉会長

経団連と北海道経済連合会(道経連、近藤龍夫会長)は10月23日、札幌市内のホテルで「第60回北海道経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長をはじめ12名の副会長が、道経連からは近藤会長はじめ会員約200名が参加し、「日本の再生と北海道の貢献」を基本テーマに、活動報告と意見交換を行った。

開会あいさつのなかで道経連の近藤会長は、北海道経済の現況について、設備投資や観光などで緩やかな持ち直しの動きが続いているとしつつも、内需の不振や欧州の信用不安、尖閣諸島にかかる中国との問題などとともに、冬の電力の安定供給について強い懸念を表した。冬期の北海道は、厳寒・凍結などの厳しい気象条件から夜間も電力需要が下がらず、24時間にわたり高いレベルで需要が継続するという本州とは全く異なる特徴を有している。このため夏期と同様の節電対応は困難であり、道内の経済3団体の総意として、電力の安定供給確保のため、停止中の泊発電所の安全性評価を早急に進め運転が再開されるよう、政府および北海道に要望したことを述べた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は冒頭、10月1日に北海道経済連合会と北海道経営者協会が統合して新体制をスタートさせたことに祝意を表した後、自身の先週の欧州訪問を踏まえ、欧州の経済は債務危機の長期化により非常に厳しい状況にあるが、決して対岸の火事ではなく、わが国でも、社会保障と税・財政の一体改革、歴史的な円高と長引くデフレへの対応、日本経済の再生と持続的な成長を実現するための成長戦略の実行、そして外交・安全保障問題への適切な対処、震災からの本格復興など、待ったなしの重要課題が山積しているとの認識を示した。また、泊発電所の再稼働に関連して、エネルギー政策は国家戦略の根幹を成すものであり、国民に対する説明責任をしっかりと果たしながら、安全性が確認され、かつ地元の理解が得られた原子力発電所については再稼働を着実に進めていくべきであるとした。最後に、10月が企業倫理月間であることから、企業倫理の徹底についての理解と協力を求めた。

■ 活動報告

米倉会長のあいさつに続いて、第1部では、経団連および北海道経済界双方から、政策課題に対する取り組み状況について報告があった。経団連からは、(1)当面の経済運営(奥正之副会長)(2)社会保障・税一体改革の推進(斎藤勝利副会長)(3)グローバル人材の育成(川村隆副会長)(4)地方分権と道州制の推進(畔柳信雄副会長)(5)観光立国の実現(大塚陸毅副会長)(6)強靭な流通サプライチェーンの構築(宮原耕治副会長)――について実現に向けた取り組み状況をそれぞれ報告した。

一方、道経連からは、食クラスター活動とフード特区事業の推進(横山清副会長)、北海道経営者協会との統合(林光繁副会長)について報告があった。

■ 意見交換

第2部の意見交換では道経連から、(1)国内投資に向けた環境整備(堰八義博副会長)(2)今後のエネルギー政策(坂本眞一副会長)(3)農業の再生に向けた強化策(横内龍三副会長)(4)地方部における地域医療制度のあり方(岩田圭剛副会長)(5)雇用戦略対話の合意事項(前泉洋三副会長)――について地元での取り組みが紹介された。

これに対する経団連側の発言のポイントは次のとおり。

  1. (1)国内投資の動向については、製造業全体で低調。円高や重い法人税、社会保障負担、大震災からの復興等すでに明確になっている課題を着実かつ迅速に解決することが必要(大宮英明副会長)
  2. (2)政府のエネルギー・環境会議が決定した「革新的エネルギー・環境戦略」は、産業界として到底受け入れることはできない。短期のエネルギー政策については、冬の電力需給の安定化に万全の対応を期すことが極めて重要。また、中期の電力確保の道筋を早期に明確化することも必要(西田厚聰副会長)
  3. (3)農業は地域の基幹産業として極めて重要であり、その再生・強化は喫緊の課題。このため経団連では昨年2月に「力強い農業の実現に向けた提言」を取りまとめ推進している。農業が若者にとって魅力ある産業となるように的を絞った取り組みが大切(坂根正弘副会長)
  4. (4)限りある医療資源や財源を適切に配分し、地域医療の維持・再生を図ることが重要。その際、各地方の地理的な特性や実情を踏まえることが大切(石原邦夫副会長)
  5. (5)雇用戦略対話では、若年フリーター数の半減や高齢者の就労促進等11項目が政策目標となっているが、2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長の実現が前提となっている。まずは規制改革を通じて、今後需要の増加が見込まれる医療や環境・エネルギーなどの産業を育成・支援することが必要(篠田和久副会長)

【総務本部】