Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年11月29日 No.3111  民主党、自民党と政権公約に関する意見交換会を開催

企業人政治フォーラム(中村芳夫会長)は11月21日に民主党、27日に自由民主党の幹部をそれぞれ招き、政権公約に関する意見交換会を東京・大手町の経団連会館で開催した。

民主党

細野民主党政調会長

民主党との会合には、細野豪志政調会長、馬淵澄夫政調会長代理が参加した。細野政調会長は、「3年前の政権交代はリーマン・ショック直後であり、非常に厳しい経済情勢であったが、景気の底割れを回避し、企業が努力すれば、結果を出せる環境づくりに努めてきた。例えば、経済こそが日本の基盤であると考え、法人税減税を決断した。中小企業の倒産は減少し、失業率は下がり、税収も増加した」と述べた。また、現下の経済情勢をめぐっては、「すでに後退局面と認識しており、しっかり経済対策を打っていく。特例公債法については、民自公3党の合意が得られ、当面3年間は政争の具とはならない。財政面での機動的な対応のための環境が整った」と発言した。

意見交換では、参加者から、「2020年度までの平均で名目3%、実質2%の経済成長を実現するとしている一方で、2030年代に原発稼働ゼロを目指すとしている。化石燃料への依存度を高めれば、燃料コストがかさむ。また、再生可能エネルギーの供給量も十分ではない。こうした状況で経済成長を本当に実現できるのか」「政策メニューはよく整理されているが、これらの施策をいつまでにどのように実現していくのかが不透明だ。党内の抵抗勢力を抑えて、党としてどうオーソライズするのか、また、野党の協力を得ながら、どう政策を実現していくのか」との質問が出された。

これに対して馬淵政調会長代理は、「長引くデフレのなかで潜在的な需要が相当、抑え込まれている。日銀の独立性を担保しつつ、日銀と政府が目標を共有しながら、まずはインフレ期待を上げることが重要な一歩になる」「2030年代の原発稼働ゼロの実現に向けて、あらゆる政策資源を投入する。グリーン、ライフを中心にあらゆる取り組み・施策を政府が支援し、公共投資をハコモノ一辺倒から、ひと、産業へ転換していく」「2009年のマニフェストは『ウィッシュリスト』に偏り、見積もりの甘さがあった。今回は、政策の柱を絞り込み、シンプルでわかりやすい、国のかたちが見えるマニフェストを示したい」と述べた。

自民党

甘利自民党政調会長

自民党との会合には、甘利明政調会長、宮沢洋一政調副会長が参加した。冒頭、甘利政調会長は、「経済を取り戻すため、まずは日本経済再生本部を新たな司令塔に設置し、リーマン・ショック以降に失われた国民所得50兆円を奪還するプロジェクトを展開していく」「デフレ、円高からの脱却を最優先に名目3%以上の経済成長を達成する。このため、2%程度の物価目標を設定し、政府・日銀の連携強化により、大胆な金融緩和を行っていく」と述べ、経済の立て直しを強調した。また、科学技術の振興に向けて、「現行の総合科学技術会議は有名無実の状態であり、予算と権限を集中させた『産業競争力会議』に再構築し、機能強化を図っていく。成長産業の育成に向けたターゲティングポリシーを推進し、まずは『健康長寿世界一』の実現など国民的課題を解決し、世界に展開可能な戦略目標を設定する。このため、官民での人事交流やプロパー職員の採用など踏み込んだ改革を行っていく」と述べた。なお、TPP(環太平洋経済連携協定)については、「自民党は『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対だ。ただ、米国は本音では日本の参加を望んでいる。国益を損なわないよう、交渉を日本に有利に進めることが重要だ」との見解を示した。

意見交換では、参加者から、「社会・経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の万全を期すことは当然だ。現状、火力発電への依存が高まるのに伴い、燃料コスト増などのかたちで年間3兆円の国富が流出し、国内産業の空洞化に拍車がかかっている。自民党は3年以内にすべての原発の再稼働を判断するとしているが、現下の危機的な状況を共有いただき、迅速な対応をお願いしたい」との発言があった。

これに対し甘利政調会長は、「当面の3年間、省エネ、再エネを徹底的に推進すると同時に、原発については再稼働できるところを順次判断していく。10年以内にはエネルギー・ベストミックスを構築する。なお、安全性については独立した規制委員会が判断するものとし、このための体制を整備する」と答えた。

【政治社会本部】