Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年12月6日 No.3112  シュヴァロフ第一副首相を来賓に迎え第13回日本ロシア経済合同会議を開催 -二国間経済交流の一層の多様化について議論

経団連の日本ロシア経済委員会(岡素之委員長)は11月21日、都内で対日経済関係発展委員会(ロシア産業家企業家連盟のアレクサンドル・ショーヒン会長が委員長を務める)と第13回日本ロシア経済合同会議を開催した。

ロシア側はシュヴァロフ第一副首相をはじめ連邦政府や地方政府の代表者ならびに経済人など約140名が、日本側から約100名が参加し、8月のWTO加盟後のロシア経済やビジネス環境整備の展望、極東をはじめ各地域における経済交流の推進、多様な産業分野における経済関係強化の可能性をめぐり、活発な議論を行った。

左からシュヴァロフ第一副首相、ショーヒン対日経済発展委員長、岡委員長

ロシア経済の課題―WTO加盟によるビジネス環境整備を推進

合同会議では、シュヴァロフ第一副首相から、「ロシア経済は順調に発展しており、原油価格を手堅く見積もった厳しい予算管理の下、年金改革やインフラプロジェクト推進に重点的に取り組む」との説明があった。また、ビジネス環境の課題を認めつつも、それが過度に強調されているとし、プーチン大統領の下、2018年までに世界銀行の国際ビジネス環境ランキングで上位20傑入りを目指すとの意気込みを示した。

また、ロシア側から、WTOに加盟したものの経済は移行期にあり、今後はWTOの規則に整合した貿易政策に則り、投資家保護やビジネス環境整備を推進し、開かれた投資市場とビジネス環境の構築に向けた改革を継続するとの説明があった。

極東をはじめ各地域での協力を推進

極東発展省からは、「極東・東シベリア地域の発展は、連邦政府の政策の主要課題の一つであり、生活の質の向上を図り人口流出に歯止めをかけたい」との発言があった。そのために、同地域を単なるアジア向け物流の中継地から脱却させ、原材料輸出中心の産業構造を転換し、連邦プログラムに基づいた官民パートナーシップ(PPP)によってその巨大な潜在力を活用し、多方面にわたる開発を実行したいとの方針が示された。

また、ハバロフスク、イルクーツク、ブリヤート共和国、トゥーラ、ヤロスラヴリの各地域政府の代表者は、外資誘致のための各種優遇策を紹介し、日本企業による投資に強い期待を表明した。

日本側は、極東地域での小型ガスタービン発電事業における課題を指摘するとともに、円滑な事業推進に不可欠な輸送分野のビジネス環境の一層の整備・改善を強く要請。また、建設機械、自動車部品の製造・販売に関連し、関税引き下げや許認可手続きの簡素化等のビジネス環境整備が急務であると強調した。

二国間経済関係の一層の拡大と多様化の重要性で一致

メモランダムを交換するスリペンチェク対日経済
関係発展委員会副委員長(左)と岡委員長

ロシア側は、エネルギー、電力、水産、木材などの伝統的分野における協力の一層の推進に意欲を表明。石油・天然ガス、石炭、鉄・非鉄金属資源の共同開発と電力供給等における二国間協力の推進について言及があった。

これに対し日本側は、ロシア産原油・天然ガスのアジア市場への展開、鉄鋼業における石炭分野での協力等について提案を行った。

ロシア経済の近代化について、ロシア側から、保健・医療機器分野やナノテク分野における日本からの投資・技術協力の実現とともに、核物質の除染・核廃棄物の処理に関する協力の推進について期待が示された。これを受け日本側からは、高度な省エネルギー技術に基づく効率的な発電についての紹介があった。

さらにロシア側は、日本企業の投資を期待する分野として、森林化学コンプレックスや住宅建設分野を挙げた。また、新たに導入される輸出信用保険制度についても説明があった。

【国際経済本部】