Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年1月1日 No.3114  容器包装リサイクル法に関する懇談会開催 -施行状況や再改正に向けた動向など聞く

2008年4月に施行された「改正容器包装リサイクル法」(以下、容リ法)については、施行後5年目の見直しに向けた検討が13年から開始される見通しとなっている。しかし、メーカー等事業者の責任範囲が一方的に拡大されるようなことになれば、産業界へのインパクトも深刻なものとなりかねない。そこで、経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で容器包装リサイクル法に関する懇談会を開催し、経済産業省産業技術環境局の渡邊厚夫リサイクル推進課長から、容リ法の施行状況や3R(リデュース、リユース、リサイクル)全般への取り組み等について説明を聞き、意見交換を行った。
説明概要は次のとおり。

■ 容リ法の制定・2006年の容リ法改正

一般廃棄物の処理については、廃棄物処理法のもと、市町村が統括的な責任を有している。しかし、最終処分場や焼却処理施設の立地が困難を極めるなか、一般廃棄物の排出量増大の大半を容器包装が占めていたことなどを受け、1995年に容リ法が制定された。

容リ法においては、一般廃棄物の減量や資源の有効利用の観点から、家庭ごみの約6割(容積比)に相当する容器包装のうち、ガラス製容器、ペットボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装のリサイクルを特定事業者に義務付けている。この結果、リサイクル義務を負う事業者、分別排出を行う消費者、分別収集を行う市町村がおのおのの役割を果たすことで成り立っているのが、現行の容器包装リサイクル制度である。

その後、国・自治体・事業者・国民等すべての関係者が協働して、容器包装のリサイクルに要する社会全体のコストを可能な限り効率化させることが志向されるようになった。

この結果、容リ法が06年に改正(08年4月施行)され、リサイクルの合理化に貢献した市町村に資金を拠出する制度や、小売事業者にかかる容器包装排出抑制を促進する措置などが取られた。

■ 容リ法再改正に向けた動向

容リ法の制定と改正以来、消費者による排出抑制や容器包装の使用合理化なども相まって、容器包装の使用総重量は一貫して減少傾向をたどっているものの、容リ法の見直し規定に従って、施行後5年を経過する13年、再改正に向けた検討が開始される予定である。

事業者自らが排出抑制目標を設定する自主行動計画をはじめとした産業界のこれまでの努力が、排出抑制に寄与しているが、一方、39万人もの署名を集め、11年8月に衆参両院に提出、採択された請願(「容器包装リサイクル法を見直し、発生抑制と再使用を促進するための検討を求めることに関する請願」)は看過できない。この請願では、(1)容リ法の役割分担を見直し、分別収集・選別補完の費用負担のあり方の検討(2)リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)を促進すべく、レジ袋など使い捨て容器の発生を抑制し、リユース容器の普及を促すとともに、容リ法の対象範囲を拡大すること――などが要請されている。

容リ法再改正によって、事業者の責任や負担がさらに拡大するのではないか、という産業界の懸念は十分理解している。自治体・事業者・消費者等のあるべき役割分担を整理しつつ、冷静に検討していく必要がある。

【環境本部】