Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月21日 No.3120  「産業界から見た欧州税制改革」で説明聞く -税制委員会講演会を開催

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で税制委員会講演会を開催し、BIACのウィリアム・モリス税制・財政委員会委員長(英国産業連盟税制委員長)、クリスター・アンダーソン同副委員長(ビジネスヨーロッパ租税政策グループ議長)から「産業界から見た欧州税制改革」をテーマに説明を聞いた。概要は次のとおり。

◆ モリス委員長

欧州各国の租税政策は、欧州債務危機を受け、奇妙なパラドックス(逆説)に直面している。税収増のニーズがあり、付加価値税率の引き上げ、銀行課税、域内11カ国で導入予定の金融取引税など、課税強化を行う一方で、企業の競争力を強化し、成長を実現するため、法人税率の引き下げ、研究開発税制の拡充など、法人税の改革も同時に行っている。例えば英国では、現行24%の法人税率が2014年4月から21%へと引き下げられる。

なお、これまで英国では累次、法人税率の引き下げを行ってきたが、その際の財源は、法人税のなかでの課税ベースの拡大にとどまらず、付加価値税率の引き上げの一部も充当してきた。必ずしも万人が賛成するものではないが、国家の競争力強化のため必要なことであると一般的には受け入れられている。

◆ アンダーソン副委員長

欧州では現在、CCCTB(共通連結法人税課税標準)が議論されている。これはEU域内における法人の損益を通算し、ワンストップでの申告を可能とすべく、法人税の課税標準にかかる規定をEUで一本化しようという試みである。欧州企業にとっては、CCCTBが既存の国別計算・申告との選択制として導入される限りは、タックス・プランニングの幅が広がり、歓迎するところである。

なお、法人減税に懐疑的な論者に対しては、法人税は労働に対する税であると主張すべきである。税負担が重ければ賃金の支払い能力は損なわれる。また、法人税率を引き下げても、法人税収の対GDP比は欧州において増加しており、かならずしも法人減税が歳入減となっていないことも重要である。

【経済基盤本部】