Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年4月4日 No.3126  「日本における集団訴訟制度に関する緊急提言」を公表 -日米欧の経済団体が共同で取りまとめ

経団連(米倉弘昌会長)は3月25日、日本商工会議所、経済同友会、在日米国商工会議所、アメリカ商工会議所法改革機関、欧州ビジネス協会およびビジネスヨーロッパの日米欧7経済団体共同で「日本における集団訴訟制度に関する緊急提言」を公表した。

政府に慎重な対応を求める

経団連はかねて、悪質事業者などによって多数の消費者に生じた少額被害を迅速かつ効率的に救済する制度を設ける必要性については理解をしつつも、十分な検証なしに集団訴訟制度が導入されれば、濫訴を招きかねないことから、健全な事業活動を委縮させるような制度は導入すべきではないと主張してきた。

わが国における集団訴訟制度の導入に対するこのような懸念は、日本の企業だけではなく、日本でビジネスを展開している欧米の企業も共通して抱いているものである。特に米国では、クラスアクションと呼ばれる集団訴訟制度が1960年代に導入されたが、やがて当初の予想を超える濫訴が生じ、社会的な混乱とコストの増加を招いたという経緯がある。

そこでわが国において、集団訴訟制度案が国会に提出されようとしている現段階において、日米欧の経済団体が共同で緊急提言を公表し、濫訴の懸念が残るなかで集団訴訟制度を導入すべきではなく、拙速に集団訴訟制度を導入することがないよう政府に対して十分に慎重な検討を求めた。提言の概要は次のとおり。

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消費者庁が提案している制度案では、訴えを提起できる団体が限定されているものの、団体は被害を受けた相当多数の対象消費者から授権を得ずに、自らの判断のみで訴訟を提起することができる。また、仮にこの制度が施行された場合に、施行前に締結された契約から生じた損害も訴訟の対象とすることができるとすると、一層その影響が大きくなり得るので遡及適用をすべきではない。

制度案がひとたび導入されれば、安倍総理の主導により加速の気配を見せ始めた日本経済の再生プロセスに少なからぬマイナスの影響を及ぼすおそれがある。消費者に対する実効的な救済を実現するとともに、雇用創出、賃金上昇、イノベーションおよび経済成長といった政府の経済再生プログラムと整合的な制度とするために、十分に慎重な検討が必要である。

政府においては、今通常国会において法案を提出する方針を再考し、拙速な立法による悪影響を回避するとともに、ビジネスと消費者が win-win の関係を構築できるよう支援いただきたい。

【経済基盤本部】