Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年4月18日 No.3128  提言「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」を公表 -労使自治を重視した労働時間法制の見直しが必要

経団連は16日、提言「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」を公表した。提言は、労働者の能力発揮とキャリア形成、そして企業活力の向上のため、労働時間法制等の見直し策を取りまとめたもの。概要は次のとおり。

1.労使自治を重視した労働時間法制改革

  1. (1)企画業務型裁量労働制の見直し等
    現行制度の対象業務は厚生労働省の告示で列挙されている。しかし、企業実態に合わない部分が生じていることから、個別企業の集団的労使自治を尊重し、労使が対象業務を決定できることが必要である。あわせて事業場ごとに求められる届出について、企業単位の一括届出を認めるべきである。
    また、裁量性の高い業務に従事する労働者を支援するため、労働者の健康確保を前提に、一定の要件を満たす事務職や研究・技術開発職等の一部の労働者について、労働時間規制の適用除外を認める制度の検討を進めることが求められる。

  2. (2)フレックスタイム制の見直し
    1カ月単位のフレックスタイム制を週休2日で運用する場合に、時間外労働となる時間の計算方式を変更すべき。また、清算期間は1カ月より長い期間を設けられるようにすべきである。

  3. (3)1カ月および1年単位の変形労働時間制の見直し
    台風や大雪等の天災を事由とする場合に限り、あらかじめ変更事由等を就業規則に規定し、総労働日と総労働時間の増加がないことを条件に、代替日未定の労働日変更を認めるべきである。

  4. (4)特段の事情がある場合の36協定の特別条項に関する基準の柔軟な運用
    外国の自然災害等の影響により国内事業場の生産を大幅に調整しなければならないなど、特段の事情があると労働基準監督署が認定した場合、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の特別条項に関する基準を柔軟に解釈していくことが求められる。

  5. (5)休憩時間の一斉付与規制の撤廃
    労働基準法第34条が定める休憩の一斉付与義務は、多様化する労働者の自律的な労働時間配分を妨げている。そこで付与義務は残しつつ、「一斉」の規定は撤廃する必要がある。

2.勤務地・職種限定契約における使用者の雇用保障責任ルールの透明化

安定した働き方を広げる観点から、勤務地あるいは職種が限定された無期契約労働者に対する雇用保障責任ルールを透明化し、紛争防止を図ることが重要である。そこで「勤務地や職種限定の労働者に対する雇用保障責任は、正社員と当然には同列に扱われない」という行政解釈を踏まえ、勤務地や職種が消滅した事実をもって契約を終了しても、解雇権濫用法理がそのまま当たらないことを法定化すべきである。

3.労使自治を重視した労働条件の変更ルールの透明化

労働契約法では、就業規則により労働条件を変更する場合、その内容や手続きを勘案して変更が合理的であることを求めている。しかし、紛争となった場合、合理性の判断は裁判所が行うため現状、結果を予測することは困難であることから、予測可能性を高める必要がある。そこで、過半数労働組合との合意を重視して就業規則の不利益変更の合理性を推測し、変更を有効とした最高裁判決があることを踏まえ、過半数労組との合意や、過半数労組がない場合には労使委員会の労使決議等を条件に、変更後の就業規則の合理性を推測することを法定化すべきである。

【労働法制本部】