Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年7月18日 No.3139  データヘルス計画について聞く -社会保障委員会医療改革部会

経団連は4日、都内で社会保障委員会医療改革部会(森千年部会長)を開催し、厚生労働省保険局の大島一博総務課長から、政府の「日本再興戦略」で示された「データヘルス計画」について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ データヘルスの背景

データヘルスとは、データ分析に基づく保健事業のことであり、政府が強く求めるようになった背景は大きく二つある。

一つは医療情報の電子化の進展である。特定健診結果はすでにデータが統一化されており、レセプト情報についても92%まで電子化しているなど、データ分析を行う基盤はできている。

もう一つの背景は、健保組合の存在意義にかかわってくる。過去幾度も、保険者間の財政調整や財政統合の議論があった。医療需要の大きい高齢者が増え続け、今後も保険料率は右肩上がりで上昇し続けるなかにあって、日本の制度は、収入の低い保険者が高い保険料率を負担する逆進的な社会保障制度であるとの指摘がある。今後も繰り返されると見込まれる財政調整・財政統合の主張に耐えられるかどうかは、健保組合が保健事業をはじめとした保険者機能をしっかりと果たしているかどうかにかかっている。

■ データヘルスの中身と進め方

まず、保険者(健保組合)は自身のミッションを確認し、保険財政に限らず、保健事業も果たすべき重要な役割であることを明確にする必要がある。そのうえで、加入者の医療データを最大限に活用し、PDCAサイクルを回しながら保健事業に取り組んでほしい。費用対効果の高い取り組みとしては、IT等を駆使した各加入者へのオーダーメイドの情報提供や、高リスクの加入者への集中的なアプローチによって、将来の透析や脳卒中、心筋梗塞等の重大リスクを低下させるといったことが考えられる。

各健保組合には、データヘルス計画を作成してもらうことになるが、身の丈に応じたさまざまなレベルの取り組みを想定している。例えば現在開発中の全健保組合共通の分析ソフトを活用することで、加入者の特性の把握やレセプト分析による医療費の把握等、一定程度の保健事業は可能であるので、財政状況の厳しい健保組合にも取り組んでほしい。

また、今後は企業と健保組合の協働が必須となってくる。企業には、新しい保健事業にふさわしいチャレンジングな人材を充てるとともに、財政に余裕のある企業には財源も投入してほしい。

<意見交換>

意見交換では「特定保健指導とデータヘルスのすみ分けはどうなるのか」との質問に対し、「両者は別物であり、相互にリンクしながら実施してほしい」との回答があった。また「企業の参加を促す施策はあるか」との質問には、「各企業・保険者の取り組み結果を集積・評価し、優秀なところを表彰することが考えられる。ほかにも、事例集を作成し、企業と健保組合の協働の事例を取り上げ、周知を図りたい」と応えた。

【経済政策本部】