Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年8月1日 No.3141  エネルギー・低炭素化関連技術アンケート結果を公表

政府は日本再興戦略において、「技術で世界に貢献していく攻めの地球温暖化外交戦略を組み立てるべく、新たな環境エネルギー技術革新計画を『総合科学技術会議』において策定し、研究開発を推進する」旨を決定した。これを受け総合科学技術会議は、「環境エネルギー技術革新計画に関する懇談会」(座長=久間和生・総合科学技術会議議員)を設置し、9月の国連総会を見据え、8月末を目途に新たな環境エネルギー技術革新計画の取りまとめを行う予定である。

そこで経団連は、政府の検討に経済界の意見を反映させるべく、資源・エネルギー対策委員会企画部会と環境安全委員会地球環境部会で、2050年までの実用化に向けて研究開発に特に注力すべき技術分野についてアンケートを実施、その結果を7月22日に公表した。
アンケートにおいて挙げられた技術分野は34に上った。

1.エネルギー供給側

  1. (1)化石燃料の高度利用等の関連では、先進的超々臨界圧石炭発電(A―USC)やガスタービン・燃料電池を組み合わせる複合発電等の化石燃料利用の効率化を図る技術のほか、二酸化炭素排出を減少させる二酸化炭素回収・貯留技術(CCS)、エネルギー自給率の向上に資する日本近海のメタンハイドレートの開発技術が挙げられた。

  2. (2)再生可能エネルギーの利用等の関連では、太陽光、地熱、潮流を利用した発電技術が挙げられた。また、バイオマスからの輸送用燃料の製造技術との回答もあった。

  3. (3)水素利用の関連では、太陽光や太陽熱を利用した水素製造技術、化学エネルギーや水素吸蔵合金を活用した輸送・貯蔵技術、アンモニア等の化学エネルギーに変換された状態のまま燃料電池等で利用する技術等の回答が寄せられた。

  4. (4)送配電・貯蔵システムの高度化の関連では、分散型の再生可能エネルギー発電について、系統の状況に応じて、蓄電したり出力抑制したりするよう電力の流れを制御する技術が挙げられた。また、リチウムイオン電池やキャパシタといった定置用の蓄電池の高度化との回答もあった。

  5. (5)原子力については、軽水炉の安全性等を向上させつつ、高速増殖炉サイクルについて、国のエネルギー政策を踏まえて確立すべく技術開発に取り組むべきとの回答があった。

2.エネルギー需要側

  1. (1)産業部門では、水素によって還元を行う製鉄プロセス、バイオマスや人工光合成による化学製品製造、空気中でガラスの微粒を溶解させることによるガラス製造、ガスエンジンによる発電を活用したコージェネレーション等が挙げられた。

  2. (2)民生部門では、各家庭等にとどまらず地域レベルでエネルギーを制御するシステムの技術との回答があった。

  3. (3)運輸部門では、高度道路交通システム(ITS)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)および燃料電池自動車等が挙げられた。

  4. (4)部門横断的な技術に関連しては、電力損失が少ない半導体、未利用熱エネルギーの利用、日本近海からのレアアース回収・精製、超高効率ヒートポンプ等の回答があった。

【環境本部】