Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年9月12日 No.3145  「平成26年度税制改正に関する提言」公表 -国内における投資や雇用の維持・拡大に資する税制措置の拡充を

経団連(米倉弘昌会長)は9日、「平成26年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、公表した。概要は次のとおり。

1.消費税率の円滑かつ着実な引き上げ

最近の経済指標は、来年4月に予定どおり消費税率を8%まで引き上げる環境が整ったことを示している。政府は早期に引き上げを決断し、その後も10%への引き上げを確実に行うべきである。低所得者対策については当面の間、簡素な給付措置を検討し、消費税率10%までは単一税率を維持すべきである。

2.日本再興戦略に基づく税制措置の具体化

投資減税は使い勝手のよい簡素な仕組みとし、対象資産には機械・装置のみならず構築物、器具備品、ソフトウェア、建物等も含め、製造業・非製造業を問わず利用可能なものとすることが不可欠である。即時償却に加え税額控除も選択適用可能とし、最低5年間の措置として今年度から適用すべきである。

償却資産にかかる固定資産税については、廃止を含め抜本的な見直しを行うべきである。まずは恒久措置として残存価額を廃止し、投資減税で法人税の特例を受けた資産については固定資産税も免除すべきである。

研究開発税制については増加型・高水準型を維持・拡充するとともに、総額型の税額控除限度額(30%)の恒久化、繰越期間の延長(1年から5年へ)および繰越要件の廃止を行うべきである。

3.平成26年度税制改正に関する提言

平成26年度税制改正では、先行する投資減税等とあわせ、経済の活性化、国内における投資や雇用の維持・拡大に資する税制を整備するとともに、経済のグローバル化に対応した国際課税制度を構築することが不可欠である。具体的には、以下の措置を講じるべきである。

  1. (1)法人実効税率を最終的にはアジア近隣諸国並みの約25%まで引き下げるべく、道筋を示すための議論を早期に開始。まずは地域間の税源偏在是正のため、地方法人特別税など地方法人所得課税を国税の法人税に統合したうえで再配分。その後、段階的に縮減
  2. (2)知的財産権に起因する所得に低税率または所得控除を適用するパテントボックスの導入
  3. (3)消費税率8%段階で自動車取得税を3%引き下げるとともに、エコカー減税を拡充。消費税率10%時点で自動車取得税を廃止。自動車税のグリーン化特例の延長・拡充等
  4. (4)石油関係諸税の負担軽減
  5. (5)地球温暖化対策のための税の抜本的な見直し。少なくとも2段階目の税率引き上げは凍結
  6. (6)住宅・都市・土地税制にかかる各種特例措置の延長・拡充等
  7. (7)遅くとも消費税率の10%への引き上げ時点で印紙税を廃止
  8. (8)退職年金等積立金にかかる特別法人税の廃止
  9. (9)NISA(日本版少額投資非課税制度)の利便性向上
  10. (10)BEPS(税源浸食と利益移転)については、わが国企業の競争力低下につながらぬよう慎重に検討
  11. (11)タックス・ヘイブン対策税制におけるトリガー税率の引き下げ(20%から18%へ)
  12. (12)帰属主義への移行に際しては事業者の事務負担に十分配慮した制度設計とすること。施行に際しての十分な準備期間
  13. (13)国境を越えた役務提供等にかかる消費税について所要の措置
  14. (14)外国人旅行者にかかる消費税免税制度の抜本的な見直し

【経済基盤本部】