Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年9月12日 No.3145  「九州地方における企業による農業参入セミナー」を開催 -地域農業の新たな担い手である企業の農業参入を後押し/農業参入の状況など聞く

あいさつする小林農政問題委員長

吉村氏

唐池氏

経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で、九州経済連合会(九経連、麻生泰会長)との共催で「九州地方における企業による農業参入セミナー」を開催し、九州地方の官民の関係者から農業参入の状況や支援策等の説明を受けた。同セミナーには、東京の企業関係者ら120名が参加した。

開会あいさつをした経団連の小林栄三農政問題委員長は、わが国農業の競争力強化と成長産業化に向けて企業を含めた多様な担い手確保の重要性が一層高まっているとし、企業の農業参入受け入れに積極的に取り組む九州地方の事例に学ぶことで、同セミナーが参加企業にとって農業参入検討の契機となることへの期待を表明した。

その後、「九州の農業の今後を考える」と題し講演した九州農政局の吉村馨局長は、九州の農業の現状について、50年前と比較して畜産と野菜生産を中心とした生産構成に大幅な変化はないものの、他地域と同様、担い手が減少し従事者の高齢化が進行していると指摘。企業の農業参入や若年層の就農等を通じた新たな担い手確保の必要性を強調した。

続いて講演した九州旅客鉄道の唐池恒二社長は、同社の農業参入の動機として、「九州の基幹産業である農業を元気にする」「美しい田園風景を守る」「仕事の本質で農業と鉄道は通じている」との3点に言及。九州各地で、ニラ、甘夏、トマト、卵、さつまいも、ピーマン、かんきつ類の生産を行うとともに、それらを使用した加工品の生産・販売等にも取り組んでいることを紹介。今後も生産品目や生産規模の拡大、農業ブランド価値や生産効率の向上、6次産業化等を通じた高付加価値化の推進、地域連携の強化を目指すとした。

また、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県において企業の参入支援を担当する部署がそれぞれ、県内農業の概況や企業参入の現状、企業参入に関する支援体制・支援制度の整備状況等について情報提供を行うとともに、広く参加企業に県内での農業参入を呼びかけた。

閉会あいさつのなかで九経連の佐藤勇夫農林水産委員長は、初の東京開催となった同セミナーを盛大に開催できたことに謝辞を述べるとともに、企業による農業参入の推進を通じて農業の経営体質の強化を図っていくことにあらためて強い意欲を示した。

【産業政策本部】