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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年11月7日 No.3153 英語力向上を通じて日本企業の競争力強化を -ハント米国ETS最高執行責任者と懇談/教育問題委員会企画部会

経団連は10月22日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、米国ETS(Educational Testing Service)のハント最高執行責任者(COO)、およびサイ英語学習・評価センター・ディレクターから、英語力向上を通じて日本企業の競争力を強化する必要性や、日本人の英語学習における課題等について説明を聞くとともに懇談を行った。

ETSは、英語を母国語としない人々の英語によるコミュニケーション能力を測る試験として開発されたTOEFLやTOEICをはじめ、各種英語試験を開発・実施している世界最大の英語試験開発機関である。

■ 国際競争力を強化するうえでの英語学習の重要性

ハント氏は冒頭、「ETSは1979年、日本人のビジネス英語力を強化することで日本企業の競争力を強化できると考えた北岡靖男氏(タイム社の元アジア総支配人)の要請を受け、職場で必要とされる英語力を測るテストとしてTOEICを開発して以来、日本人の英語学習を支援している」と説明した。

また、「英語はすでに世界共通語であり、世界の4人に1人が英語を話し、ASEAN10カ国のうち、4カ国の公用語となっており、2015年に形成されるASEAN経済共同体の実務言語として採用される」ことなどを紹介し、英語教育拡充を打ち出した文部科学省の方針は理にかなっていると評価した。

■ 世界中の高等教育機関で採用されているTOEFLテスト

他方、大学レベルの学術的な英語運用能力を測るテストとして64年に開発されたTOEFLに関して、「05年から、インターネットを通じて、『読む・聞く・話す・書く』の4技能のテストを実施するTOEFL iBTが主流となっており、これまでに2700万人が受験し、130カ国の9000の高等教育機関で採用されている」と述べた。

■ TOEFLスコアからみる日本人の英語力

続いて説明したサイ氏は、「12年のTOEFLの世界受験者の成績サンプルにおける日本人の平均スコアのパーセンタイル値は、リーディングが34%値、リスニングが32%値、ライティングが24%値、スピーキングが17%値で、リーディングが最も高くスピーキングが最も低くなっている。日本の大学入試はリーディングとリスニングが中心で、ライティングやスピーキングの力はほとんど問わないことを考えれば当然の結果である」と指摘。「大学入試に英語の4技能を問う試験を導入すれば、日本の英語教育改革は大きく前進するだろう」と述べた。

最後にハント氏は、短期間に英語力を上達させる四つの要因として、(1)早い年齢から開始すること(2)適切な英語指導法に基づき学習すること(3)英語を実際に使える環境にあること(4)英語を学習することへのインセンティブがあること――を挙げ、「(1)や(2)の条件を提供するため、ETSでは、小中学生向けのテストである TOEFL Primary や TOEFL Junior を開発したほか、英語教師を対象にした指導法ワークショップ『プロぺル・ワークショップ』を世界各地で開催している」と述べ、「企業が採用や社内の昇進・昇格の際、一定の英語力を問うようにすれば、英語学習へのインセンティブになる」と訴えた。

【社会広報本部】

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