Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年1月1日 No.3160  第3回日本・アラブ経済フォーラム開催 -アラブ諸国の経済・産業多角化へ日本の協力期待

経団連は12月16、17の両日、都内で日本政府、中東協力センターならびに関係政府機関、アラブ連盟および加盟各国とともに「第3回日本・アラブ経済フォーラム」を開催した。日本側は、政府から茂木敏充経済産業大臣、松島みどり同省副大臣、牧野たかお外務大臣政務官、経団連から米倉弘昌会長、坂根正弘副会長、木村康中東・北アフリカ地域委員長ら約1000名、アラブ側は、アフマド・ベンヘッリ・アラブ連盟副事務総長、カーリッド・アルサグル・クウェート商工会議所副会頭ならびにアラブ連盟加盟国から約500名が出席した。

近年、アラブ諸国は、急速な人口増加と若年雇用問題といった各国共通の課題を抱え、その対応のために経済・産業の多角化に取り組んでおり、日本の協力を求めている。そこで今次フォーラムでは、エネルギー・環境・インフラ整備、人材育成・技術協力等、協力分野の多角化を踏まえた協力のあり方について話し合った。

なお、経団連は16日、フォーラム開会前に米倉会長、渡文明審議員会議長、畔柳信雄副会長、勝俣宣夫副会長、宮原耕治副会長、日覺昭広審議員会副議長、中村芳夫副会長・事務総長、竹内敬介日本アルジェリア経済委員長、木村中東・北アフリカ地域委員長の出席を得て、アラブ連盟および加盟国首脳との朝食会を開催した。

フォーラムの全体セッションおよび朝食会の概要は次のとおり。

■ 全体セッションの概要

  1. (1)全体会合1=エネルギー・環境・インフラにかかる協力
    日本側は、アラブ諸国における新規産業の育成や、コンパクトシティーの推進等を提案した。また、通関業務の円滑化、自国民優遇政策、外資規制、不透明な税制や制度運用の見直しを求めるとともに、EPA、租税条約、投資協定などの締結が双方の発展に寄与することを指摘した。
    一方、アラブ側は、石油ガス開発の推進に加え、石油下流産業の育成や、電力、再生可能エネルギー、水、道路、港湾をはじめとするインフラ整備での協力を求めた。

  2. (2)全体会合2=経済多角化のための人材、科学技術および学術研究における協力
    日本側は、人口が急増するアラブ諸国において、若年層を中心とする雇用を生み出す産業の育成と発展を促進し、産業の多角化を進めることが重要であると指摘した。
    これに対しアラブ側は、研修機会や施設、初等から高等教育における理数系人材の育成などの分野へ、日本からの協力を期待すると表明した。

  3. (3)全体会合3=重層的な経済関係の構築
    アラブ側は、エネルギーと自動車の輸出入という従来の日アラブ経済関係を越えるために、アラブ側のビジネス環境改善や製品の品質向上に努めたいとの意向を示した。また、日本の中小企業の成功モデルから学びたいと述べた。
    日本側は、医療、製薬、食品などでの協力の可能性を指摘した。さらにアラブ側が、農業、人材育成、リサイクルなどにおける日本からの協力に期待を示した。

■ アラブ連盟および加盟国首脳との朝食懇談会

各国首脳から、日本アラブ間の貿易・投資促進やインフラ整備での日本への期待が表明された。特に、政情不安が伝えられるエジプトやイエメン等からは、正常化が進んでいることから、安心して投資を進めてほしいとのコメントがあった。

日本・アラブ経済フォーラムには1500名が参加した

【国際協力本部】