Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月13日 No.3165  連合との懇談会を開催 -今春季労使交渉の諸問題で意見交換

あいさつする米倉会長

経団連(米倉弘昌会長)は5日、東京・大手町の経団連会館で日本労働組合総連合会(連合、古賀伸明会長)との懇談会を開催した。経団連から20名、連合から18名が参加し、「今年の春季労使交渉をめぐる諸問題」をテーマに意見交換した。

開会あいさつで米倉会長は、「今年はデフレ脱却と本格的な経済再生の大きなチャンスであり、企業業績の改善が投資の拡大と雇用の創出、賃金の引き上げにつながる『経済の好循環』を創り出すべく、引き続き努力していく」との考えを示すとともに、各企業の労使が、中長期的な観点から建設的な対話を進め、競争力の強化と持続的な成長の実現につなげていくことが重要であると述べた。

連合の神津里季生事務局長は、今次交渉を今後の日本社会・経済を方向づける交渉になると位置づけたうえで、月例賃金の引き上げと、中小企業や非正規雇用で働く人たちの賃金の底上げにこだわって取り組んでいくと述べた。特に月例賃金については、「明日への信頼の証が込められている」として、引き上げへの強い意志を示した。

両団体のあいさつの後、双方が今年の春季労使交渉にあたっての基本的な考え方を説明した。

連合側は、デフレ脱却の好機を逃さないことが重要であるとしたうえで、賃金引き上げが将来不安解消、消費拡大、需給ギャップ解消などの大きなサイクルを回すと指摘。日々小さなイノベーションを積み重ねている従業員のモチベーション向上につながるよう、職場の努力や成果を強く主張していくとの方針を明らかにした。

経団連側は、労使交渉の基本である「労使自治」と「労使協調」を大切にしながら、企業がおかれている環境や課題などについて認識を共有し、未来へつながる交渉にしたいと述べた。賃金については、総額人件費管理の観点から自社の支払能力に基づき判断・決定するとの原則は揺るがないとしたうえで、拡大した収益を設備投資だけでなく、雇用拡大、賃金引き上げに振り向けることを検討し、賃金の引き上げについては、「ここ数年と異なる対応も選択肢となり得る」との考え方を示した。

続いて行われた意見交換では、連合から、(1)経済、社会に対するインパクトに鑑み、労使の努力の結果としての賃上げを実現すること(2)非正規労働者が基幹的な業務を多く担っている実態を踏まえ、適正な評価と処遇を行うこと(3)中小企業に対する取引関係の適正化と処遇の改善――などについて発言があった。

一方、経団連からは、(1)従業員をはじめとしたステークホルダーに対する利益の相応の分配とその際の手法が多様であること(2)地域、規模、業種によって業績の回復状況に濃淡があるなかでの交渉となること(3)法人税負担の軽減は大企業だけが優遇されるわけではなく、企業の発展や雇用の拡大につながること(4)社会保険料の負担抑制に対し、労使が連携して社会保障の重点化・効率化に向けた取り組みを進めること――などについて意見が出された。

閉会にあたって、神津事務局長は、「昨年までとは明らかに違う、といった結果を真摯な交渉を通じて導き出すことが重要である」と述べた。続いて米倉会長は、「経済成長の原動力は企業であり、その活動を支えるのは健全な労使関係である」とし、労使が引き続きさまざまな機会を通じて意思疎通を図り、「労使自治」のもとで諸課題の解決に取り組んでいくと総括した。

【労働政策本部】