Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月20日 No.3166  国際会計基準(IFRS)について意見交換を行う -国際会計基準審議会(IASB)のフーガーホースト議長との会合開催

説明するフーガーホースト議長

経団連は6日、東京・大手町の経団連会館で、ハンス・フーガーホースト国際会計基準審議会(IASB)議長ほかIASBおよび国際会計基準(IFRS)財団関係者を招き、主要企業メンバーとの懇談会を開催した。フーガーホースト議長の講演の概要は次のとおり。

■ フーガーホーストIASB議長の講演概要

私が2011年7月にIASB議長に就任して以来、今回で7度目の来日になる。これは、日本が重要な経済大国であると同時に、IFRSへの関心が非常に高いからだ。日本ではIFRSの任意適用が進み、日本の代表的な企業も含め30社程度がIFRSを適用済みか適用予定であると聞いている。また、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)はIFRSの開発に多大な貢献をしており、感謝する。

IASBと米国財務会計基準審議会(FASB)との四つの共同プロジェクトは、できるだけ早く終わらせたい。なかでも、「リース」は一番難しいプロジェクトだ。しかし私は、このプロジェクトを完遂させることが利用者および作成者の利便に適うと信じており、プロジェクトを完結させるために、3月にIASBとFASBとの間で重要な決定を行う予定だ。その前提として、作成者が懸念するコスト・ベネフィットには配慮し、会計処理の簡素化を検討することを約束する。

日本の企業関係者にとって最重要課題といわれている「純利益・リサイクリング」については、日本とIASBの考え方はコンセンサスに近づいている。特に、「純利益」が関係者にとって重要な概念であるという基本認識は一致している。しかし、純利益やその他包括利益(OGI)の定義づけは難しいので、今後も日本の知恵を貸してほしい。

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フーガーホースト議長からの講演に引き続き、逆瀬重郎企業会計委員会企画部会長代行から、IFRSの主要プロジェクトについて、日本の産業界としての見解を紹介した。

■ 日本の産業界の見解

日本の産業界の最も強い関心事項は、「純利益・リサイクリング」「リース」「のれん」の三つに集約できる。

IASBが進める「概念フレームワークの見直し」では、「純利益・リサイクリング」の検討が行われているが、そのほかにも、「開示」について「コスト・ベネフィットの比較考量」を行うこと、「蓋然性」「慎重性」を不可欠の概念として規定することも重要である。

「リース」基準については、いまだに会計処理の基本的部分とコスト・ベネフィットについて納得性がなく、慎重に議論を継続していく必要がある。「のれん」は投資原価の一部を構成するため、一定期間内で償却すべきである。

<意見交換>

出席者から、IASBの「保険契約」プロジェクトに対する見解が披露された後、意見交換を行った。企業サイドからは、「純利益を定義づける前提として、OGIのリサイクリングは必須である」「リース基準について、少額リース(small ticket)の取り扱いを明確化すべき」「投資の成果を適切に表すために、のれんの償却は必須である」等の意見が出された。

これに対し、フーガーホースト議長は、「のれん」について、「現在IFRS3号(企業結合)の見直し作業を行っており、検討の結果次第では、減損処理の見直しもあり得るだろう」と述べた。

【経済基盤本部】