Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月13日 No.3169  新型インフルエンザ等対策/政府から取り組み状況聞く -国民生活委員会

経団連の国民生活委員会(川合正矩共同委員長、木村惠司共同委員長)は4日、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」および「ガイドライン」策定(2013年6月)以降の政府取り組み状況について、内閣官房新型インフルエンザ等対策室参事官の西辻浩氏から説明を受けた。

初めに西辻氏から、「新型インフルエンザ等対策の基本的方針は、水際対策などで感染拡大を抑制しつつ、流行ピーク時の患者を少なくし、国民経済に及ぼす影響を最小限にすることである。そのために、政府行動計画やガイドラインに基づき、国や事業者、住民などの当事者が、それぞれの役割・責務を果たすことが重要である」との説明があった。

次に、パンデミック時における法令の弾力運用について、「以前、業界団体から集めた弾力運用の検討が必要とされる条項を、所管省庁にて検討した結果、弾力運用等の対応が必要な条項はそのうち約1割であり、すべて、訓令、通達、解釈の見直しで対応が可能とのことであった。ただし、ウイルスの毒性など、前提によってさまざまな状況が想定されるため、東日本大震災時等の弾力運用の経験も踏まえて、発生時にあらためて要望が出てくれば対応を判断していかなければならない」との考えが示された。

■ 意見交換

続いて行われた意見交換では、1月21日に実施された政府の新型インフルエンザ等対策訓練について、「事業主が認識しておくべき問題点などがあれば教えてほしい」との質問に対し、「今回の新型インフルエンザが海外で発生した場合等における初動レベルの訓練においても、対応スタイルが自治体によって異なっていた。例えば医者が患者を診察する際に、マスクを装着しているだけの自治体がある一方で、感染防止を徹底した装備を行っている自治体もあった。指定公共機関の対応においても、おそらく濃淡さまざまであることが想定される。対応に差が生じないよう、ある程度平準化しておくべきと感じた。来年度以降は、国内で新型インフルエンザ患者が発生した場合など応用レベルでの訓練を実施する予定であり、指定公共機関をはじめ事業主の皆様ともタイアップしていきたい」との回答があった。

また、「新型インフルエンザに対する国民の意識が、過去と比べ薄まっているのではないか」との質問に対しては、「国民に対し、広報活動を行っているものの、浸透が不十分であることは反省している。今後も啓発活動を続けていきたい。また、風評被害を防ぐためにも、マスコミとのリスクコミュニケーションは重要であり、勉強会などを開催し、マスコミの理解を深めるよう努力している」との説明がなされた。

最後に、パンデミック時に特定接種の対象となり得る登録事業者の登録作業の状況について、「現在、厚生労働省が3月中をめどに医療関係者の登録を進めているが、派遣社員の看護師やレセプト事務を外注している場合の取り扱いなど、公平性・透明性を保つためのルールづくりが重要だと考えている。なお、今後、事業者を登録することになるが、100万を超える事業所が対象となることが想定されるため、ウエブシステムによる登録(来年度中に開始)を予定している。今後、システム設計にあたり、所管の業種の事業運営実態を踏まえた各省庁の事情を聞く予定である」との説明があった。

【経済政策本部】