Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年4月17日 No.3174  景品表示法・消費者契約法見直しに関する検討状況聞く -消費者委員会の河上委員長から/経済法規委員会

説明する河上消費者委員長

経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会(奥正之委員長、大八木成男共同委員長)を開催し、内閣府消費者委員会の河上正二委員長から、景品表示法上の課徴金制度の導入や消費者契約法の見直しに関する検討状況について説明を受けるとともに、意見交換をした。説明の概要は次のとおり。

1.不当表示に対する課徴金制度の導入

消費者委員会は、今年2月から景品表示法における不当表示にかかわる課徴金制度の検討を進め、1日に中間整理を取りまとめ公表した。

  1. (1)課徴金制度の目的
    課徴金制度について、不当表示を行った事業者の「やり得」を吐き出させ、消費者の被害回復のために還元するためのものとして捉えるべきとの指摘も否定されてはいないものの、中間整理では、課徴金の主たる目的は「不当表示の事前抑止」にあるとした。

  2. (2)課徴金の対象事案
    いかなる場合に課徴金が課されるかは経済界にとって大きな関心事であろう。主観的要件について、事業者からのヒアリングで「相応の注意義務を尽くしたにもかかわらず課徴金が課せられることになった場合は事業活動そのものが萎縮することになりかねない」との意見もあったが、中間整理では、主観的要件は必要と考えつつ、事業者が合理的な注意を尽くしていたという立証をした場合は、課徴金の対象から外してはどうかという折衷案を多数意見として示した。

    また、「流通過程の川下に位置する事業者が川上の事業者の表示を信頼した場合にまで責任を負わせるのは酷ではないか」との意見もあるが、不当表示による損失のリスクを顧客と事前確認の機会がある川下事業者とのいずれが負うべきかを考えると、事業者が責任を免れるとは直ちにはいえないのではないか。このほか「不実証広告も課徴金の対象とすべきではないか」との意見が有力だが、なお検討を要する。いずれにせよ、要件の明確化は大きな課題である。

  3. (3)課徴金額の算定
    事前抑止の効果をあげるためには、不当表示による事業者の「やり得」相当額を基準に課徴金を算定することになるが、個別の事案ごとの算定は困難であることから、一律の基準を擬制せざるを得ない。問題は、加算・減算・減免措置をどう考えるかである。事業者の自主的な対応を促すため、一定のコンプライアンス違反を加算事由とすることや自主的に返金等を行ったことを減免事由とすることなども議論されたが、さらに検討が必要である。

2.消費者契約法の見直し

2000年に消費者契約法が制定されて以来、10年以上が経過したことを踏まえ、消費者委員会では昨年夏に「『消費者契約法に関する調査作業チーム』論点整理の報告」を取りまとめた。この3月から同論点整理等をもとに、消費者庁において、情報化、高齢化といった社会の変化を踏まえた見直しの検討に着手している。今後、立法事実の整理を踏まえて今年夏頃を目途に取りまとめる予定である。制度の見直しにあたっては、事業者と消費者の対立ではなく、適法な活動をしている事業者と消費者がwin-winの関係を構築できるよう、市場の公正さを実現するために協力することが重要である。

【経済基盤本部】