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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月19日 No.3181 玉川学園が取り組むIBディプロマ・プログラム視察 -知識習得だけでなく思考プロセス重視/教育問題委員会企画部会

中谷氏(左)と懇談する視察メンバー

経団連の教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)は5月28日、東京・町田市の玉川学園高等部を訪問し、同校の国際バカロレア(IB)(注)・ディプロマ・プログラム(DP)を見学するとともに、IB教育の現状や課題について、玉川学園の中谷晴彦学園教学部次長らと意見交換した。

■ IB教育プログラムの特徴=世界に通用する人づくりを目指す

同校では創立以来掲げている「全人教育」の理念に通じる共通点をIB教育の基本理念に見いだし、2007年にIB教育プログラムを導入。課題発見型・探求型の学習姿勢、異文化への理解・尊重、学際的思考や問題解決能力を伸ばす教育を軸に、ハイレベルな英語力と世界に通用する知識やものの考え方を身につける学習を推進している。

12年生(高校3年生)の
TOKの授業の様子

今回の視察では、12年生(高校3年生)のTOK(Theory of Knowledge)という授業を見学した。TOKとは、DPでの学習領域の主要部分の統合を図り、学際的観点・多角的視点に立ち、論理的・客観的に物事をとらえられる姿勢と批判的思考技術を磨くことを目的とするもの。英語によるディスカッションの演習を通して、学習者の視点からみた問題点についてのコミュニケーション力、知識の本質について、自分なりの結論を導きだすための思考プロセスが養われる。

■ IB教育の現状や課題で意見交換

授業視察後の懇談では、「従来の日本型教育に比べIB教育の強みは何か」との経団連側からの質問に対し、中谷氏は、「日本型教育が知識の量、正確な知識(文語、用語)の出し入れを求めるのに対し、知識を応用して考える力、自らの価値観に基づく意見、新しい発想等を培うのがIB教育であり、グローバル化が進むなかでこのような力や考え方を備えた人材が求められている。こうした教育は従来型の受験方式にはそぐわないが、将来にわたって自分で決断し、人生を切り開いていける力を備えたグローバル人材の基礎が形成される」との認識を示した。

一方課題としては、IB課程を指導できる教員の不足が予想されることを挙げたうえで、今年4月、IBの教員を養成する「IB研究コース」を玉川大学大学院に開設したことを紹介した。さらに、ディプロマを取得した生徒の進路についても触れ、「国内大学への進学者も多いが、それが“内向き”とは一概にはいえない。授業料が高く、生活費の負担も大きい海外の大学への進学を、家庭の経済的事情で断念するケースも多い。状況を改善するには奨学金の拡充などの支援体制を整える必要がある」と指摘した。

(注)国際バカロレア(IB)=インターナショナル・スクール等の卒業生に国際的に通用する大学入学資格を付与する仕組みとして国際バカロレア機構が開発した教育プログラム。年齢に応じて「初等教育」「中等教育」「ディプロマ」の三つのプログラムに分かれている

【社会広報本部】

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