Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年7月10日 No.3184  今後の日米関係の課題を聞く -冨田・外務省北米局長から/アメリカ委員会

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館でアメリカ委員会(石原邦夫委員長、村瀬治男共同委員長)を開催し、外務省の冨田浩司北米局長から、米国政治情勢等を踏まえ、今後の日米関係の課題について説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ 米国の政治情勢

現在、オバマ大統領の支持率は40~45%と低迷している。米国経済は緩やかな回復基調にあり、それほど悪くないにもかかわらず支持率が回復しない背景には、国民の強い政治不信がある。議会支持率も昨年11月には9%まで低下した。このような既存政党への不満がティーパーティーの台頭等につながっている。

11月初旬の中間選挙では、共和党が上院の過半数を得るとの見方がある。それでも、フィリバスターと呼ばれる議事進行妨害の制限に必要な60議席には届かない模様である。下院で共和党が引き続き多数党となり、ねじれが解消されれば、残り2年のオバマ大統領の政権運営は一層厳しさを増すこととなる。

他方、2016年の大統領選挙を見通すのは難しい。有力候補として、民主党ではヒラリー・クリントン前国務長官、共和党ではケンタッキー州のランド・ポール上院議員、ウィスコンシン州のポール・ライアン下院予算委員長、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事等の名前が挙がっているが、今後の展開は予断を許さない。

■ アジア太平洋地域における日米両国の役割

4月のオバマ大統領訪日は大きな成果を挙げた。特に、共同声明では日米がアジア太平洋で主導的な役割を果たしていくことが確認された。今後、これを具体的に進めていくためには、以下の三つの課題がある。

第1は、日米同盟関係の強化である。安倍総理は就任以来、幅広い分野での同盟強化に取り組んでいる。今年後半にかけて同盟強化の方策を議論し、「日米防衛協力のための指針」の見直しに反映させていきたい。

第2の課題は、アジア太平洋地域諸国との良好かつ安定した関係の構築である。当面の最大の課題は日韓関係の改善であり、引き続き取り組んでいく。

第3は、具体的な成果を挙げることで、そのなかでも一番はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉の妥結である。オバマ大統領訪日の際、「TPPに関する二国間の重要な課題について前進する道筋を特定」することができた。TPPはアジア太平洋地域全体にとって戦略的な取り決めであり、日米が牽引して成果を出していくことが重要である。

来年、戦後70年の節目を迎える。日米関係のさらなる強化に向けて、日本政府では両国間の人的交流促進を一層強化していく。あらゆるレベルで交流を活性化することは、日米間の課題解決に貢献する。経済界にも協力をお願いしたい。

【国際経済本部】