Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月4日 No.3190  政府のIT人材育成に向けた施策を聞く -情報通信委員会高度情報通信人材育成部会

経団連は8月6日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会高度情報通信人材育成部会(重木昭信部会長)を開催し、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の永山純弘企画官、経済産業省商務情報政策局の小池雅行地域情報化人材育成推進室長、ならびに文部科学省高等教育局の牛尾則文専門教育課長から、IT人材育成に関する施策について説明を聞き、意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 政府IT戦略の改定(内閣官房)

政府IT総合戦略本部は、今年6月にIT戦略と工程表を改定した。人材育成分野では、昨年12月の「創造的IT人材育成方針」の決定を踏まえ、国民全体の情報利活用力の底上げおよびわが国の経済発展に寄与する高度な人材の創出等の推進が盛り込まれた。また、初等・中等教育段階におけるプログラミング教育の充実や、NPO等民間活力による情報利活用力向上への取り組みの支援なども追加された。今後、工程表に基づき、具体的な施策を展開していく。

■ IT融合人材の育成とITパスポート試験の活用(経済産業省)

いま異分野とITの融合によるイノベーションを創出できる「IT融合人材」が求められており、多様な専門性を持った複数の人材が協働しながら組織として活動できるようにしていくことが必要である。

一方、社会生活や産業活動のあらゆる分野でITが活用されていることから、ITの基礎知識を身につけることにより、ITを積極的に活用し、業務の改善・生産性向上や情報セキュリティ等のリスクの低減につなげていくことが期待される。そこで、「ITパスポート試験」(ビジネスにITを活用するすべての社会人に求められるITと経営、情報セキュリティ等に関する基礎知識を証明する国家試験)を、各社のエントリーシートや社員教育・企業研修等で積極的に活用してほしい。

■ 情報技術人材の育成(文部科学省)

文部科学省では2012年度から、複数の大学と産業界との間で全国的なネットワークを形成し、実際の課題に基づく課題解決型学習を実施するなど、大学における情報技術分野の実践的な教育を推進する事業を行っている。この取り組みは、産業界のニーズに応える新しい教育として注目を集めている。

高等専門学校でも企業との共同教育等により、実践的な情報技術者の育成に取り組んでいる。

<意見交換>

委員からは、「文系でもプログラミングに関心があれば、IT人材になることができる。プログラミング教育充実の具体的な施策や今後のスケジュールを示してほしい」「文系を含めたあらゆる人にITを活用してもらうことが重要になってきている」「情報処理推進機構(IPA)の未踏事業など、ITで社会変革を起こせる人材も重要」などの意見が出された。

【産業技術本部】