Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年9月18日 No.3192  わが国の国際宇宙ステーション計画への参加のあり方等を聞く -宇宙開発利用推進委員会企画部会・宇宙利用部会

経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(中谷義昭部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。文部科学省研究開発局宇宙開発利用課の谷広太宇宙利用推進室長から科学技術・学術審議会宇宙開発利用部会のもとに設置された国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会の「中間とりまとめ」について、また柳孝課長から平成27年度概算要求(宇宙関係予算)について、それぞれ説明を聞くとともに意見交換を行った。会合の概要は次のとおり。

■ 「中間とりまとめ」の概要

国際宇宙ステーション(ISS)参加国は、ISSの運用を2020年まで継続することに合意しており、2016年以降の運用について具体的な調整が進められている。また、2020年から2024年までの運用延長を米国が各国に要請している。

そこで、文部科学省では、国際宇宙ステーション・国際宇宙探査小委員会を設置し、わが国のISS計画への参加のあり方や国際宇宙探査の進め方について検討を行い、7月に「中間とりまとめ」を公表した。

中間とりまとめでは、ISS計画への参加から得られた成果として、(1)有人・無人宇宙技術の獲得・発展(2)宇宙環境利用による社会的利益(3)産業の振興(4)国際プレゼンスの確立(5)青少年育成――を挙げ、こうした成果は他の手段では得られない多様で貴重なものであり、有人宇宙技術は一度中断した場合、再興することが困難であると指摘。そのうえで、2024年までのISS運用延長の提案に関して、わが国は引き続き参加していくことが適当としている。

また国際宇宙探査については、ISS計画を通じた経験を活用して主体的に取り組むことが重要であり、わが国が主催する次回の国際宇宙探査フォーラム(ISEF)に向けて、国際調整を行うべきとした。

■ 平成27年度概算要求(宇宙関係予算)

宇宙政策をめぐる動向として、今年7月に政府の宇宙政策委員会の委員が全員再任された。また、8月には、6月に設置された宇宙政策委員会基本政策部会での審議を経て「中間とりまとめ」が公表され、安全保障能力の強化、国際宇宙協力体制の構築、産業基盤の維持・強化等の必要性が指摘された。

平成27年度の宇宙関係予算の概算要求では、宇宙基本計画などの実現に向けた取り組みを推進するため、文部科学省として三つの戦略を掲げている。

第一は、新型基幹ロケットの開発を着実に進めることであり、初号機は2020年度に打ち上げる予定である。

第二は、安全保障分野などの宇宙利用市場の創造である。先進光学衛星や光データ中継衛星を新規に要求し、宇宙を活用して広義の安全保障に貢献する。

第三は、宇宙科学分野においてフロンティアを開拓し、ブランド力を向上させることである。

また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の概算要求額は直近5年間で最大の1931億円であり、安全保障・防災、産業振興、宇宙科学等のフロンティアなどに積極的に取り組む。

【産業技術本部】