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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月9日 No.3195 最近のエネルギー事情について聞く -資源・エネルギー対策委員会

説明する上田長官

経団連は9月26日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会(加藤泰彦共同委員長、高橋恭平共同委員長)を開催し、資源エネルギー庁の上田隆之長官から、最近のエネルギー情勢について説明を聞いた。
概要は次のとおり。

■ 上田長官説明

  1. (1)東日本大震災以降の新たなエネルギー制約
    原子力発電所の運転停止等に伴い、化石燃料の輸入が増加した結果、2013年度には総発電電力量の約9割を海外からの化石燃料に依存することとなった。また、火力発電焚き増し費用が年間3.6兆円に上り、電気料金が震災前に比べて2割以上も上昇し、CO2排出量も大幅に増加した。
    今年夏の電力需給見通しをまとめた総合資源エネルギー調査会小委員会の報告書では、九州電力と関西電力の管内において、電力の安定供給に最低限必要な予備率3%を下回るとの見通しが示された。幸い、夏の暑さが予想を下回ったことから事なきを得たが、わが国の電力供給に脆弱性があることには変わりない。

  2. (2)原子力政策
    9月10日、原子力規制委員会が川内原子力発電所の原子炉設置変更許可を決定した。これを受け、川内原子力発電所の再稼働を進める政府の方針を示す文書が小渕優子経済産業大臣名で発出された。今後、住民説明会を開催して地元の理解を得るよう努力するとともに、電力自由化と原子力発電の両立、使用済燃料問題等にも取り組んでいく。

  3. (3)再生可能エネルギーの現状
    固定価格買取制度により再生可能エネルギーの導入量が大幅に増加した結果、年間賦課金総額は6500億円に達している。再生可能エネルギーの導入と国民負担の抑制を最大限どう調和させるかが重要な課題である。
    九州では太陽光の接続契約申し込みが急増し、春秋の晴天時に発電電力が需要を上回る見通しとなったことから、九州電力は当面の間、接続契約申し込みに対する回答を保留することとした。九州で余った電力を東京や名古屋等の大都市に運ぶということも考えられるが、それを実行するためには系統強化のための多額の投資が必要となる。他の一般電力事業者管内でも同様の現象が起きつつあり、需要を上回る再生可能エネルギー発電設備をどうするかについて、真剣に検討する必要がある。

  4. (4)エネルギーミックスについて
    エネルギーミックスを観念的に策定しても、国民の支持は得られない。将来のエネルギー需要や、エネルギー源ごとの電力コスト等の見通しを踏まえる必要がある。原子力発電所再稼働の見通しやCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)に向けた議論等をにらみつつ、できるだけ早期に策定したい。

■ 懇談

経団連側から、「エネルギーコストの上昇に苦しむ企業が生産活動拠点を海外へ移転することについて、国として対応する必要があるのではないか」との質問があった。これに対して上田氏からは、「足もとの対策として企業の省エネに関する取り組みを支援するとともに、国内の事業環境を改善するよう努力したい」との回答があった。

【環境本部】

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