Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年10月30日 No.3198  第22日本トルコ合同経済委員会開催 -日・トルコ経済連携の新たな時代に向け意見交換

あいさつする釜日本トルコ経済委員長

トルコは「共和国建国100周年の2023年までに世界経済トップ10入り」という目標に向けて、10年以降、年率平均6%を超える堅調な成長を維持している。一方、日本とトルコが外交関係を樹立してから今年で90年になるが、二国間貿易・投資関係は、両国の経済規模に鑑みれば、今後拡大の余地は大きい。

こうしたなか、経団連は昨年12月に「日・トルコ経済連携協定(EPA)交渉の早期開始を求める」緊急提言を公表し、二国間経済関係の緊密化に向けて、関係方面に働きかけてきた。その後両国政府間で、今年12月のEPA交渉開始が合意され、経済連携強化に向けた機運が高まりつつある。

そこで、経団連の日本トルコ経済委員会(釡和明委員長)は16日、イスタンブールでトルコ海外経済評議会(DEIK、メフメト・ヌレッティン・ペカルン・トルコ日本経済委員長)と日本トルコ合同経済委員会を共催した。

第22回となる同会合には、アドナン・ユルドゥルム経済副大臣や横井裕駐トルコ日本大使等を来賓に迎え、日本・トルコ双方で約100名が参加し、貿易・投資関係の強化のあり方等について意見交換を行った。会合の概要は次のとおり。

■ 二国間経済関係のさらなる発展に向けた基盤

第1セッションではマクロ的な視点から、日・トルコEPAの早期締結など、二国間経済関係のさらなる発展に向けた制度上のインフラ整備について意見交換を行った。

トルコ経済省から互恵的なEPA締結の重要性について説明があったのに対し、経団連からは、包括的かつ高水準のEPAの合意を15年中に実現するよう訴えた。

■ 互恵的関係の構築に資する横断的分野

第2セッションでは両国の互恵的なパートナーシップの構築を促進する観点から、「建設、災害に強いインフラ」「エネルギーと環境」「プロジェクト・ファイナンス」などの横断的なテーマについて、日・トルコ双方の事業の取り組みなどを紹介した。

とりわけ、20年の東京五輪と23年のトルコ建国100周年を見据え、地震多発国でもある両国がエネルギー安全保障や低炭素化に配慮しながら、いかに災害に強いインフラを構築するかという論点に沿って議論が展開された。

■ 主要な産業分野におけるビジネス機会

第3セッションではミクロ的な視点から、トルコの優秀で豊富な人材に支えられた各種製造業や食品・農業、ヘルスケア、観光など、主要な産業分野におけるビジネス機会について具体的な意見交換が行われた。

特に欧州・中東・北アフリカ・中央アジアの結節点に位置するトルコの地理的な優位性を活用した、周辺国への事業展開や協業の可能性について、活発な議論が交わされた。

■ 成果と今後の取り組み

今回の議論を通じて、両国間のビジネスの潜在力や経済連携によるシナジー効果を確認するとともに、経団連側からビジネス環境にかかる問題を提起し、トルコ政府に改善を働きかけるなど、同会合を有効に活用することができた。

経団連では、両国間の経済関係を一層拡大・深化させていく観点から、EPA交渉の今後の進捗を踏まえ、関係方面に引き続き働きかけていく。

日本トルコ合同経済委員会での活発な討議の模様

【国際経済本部】