Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月11日 No.3204  ムラーデク・チェコ産業貿易大臣、マラス・クロアチア中小企業相らと懇談 -日本からの直接投資の拡大を期待

経団連の佐藤義雄ヨーロッパ地域委員会共同委員長は東京・大手町の経団連会館で、11月12日にチェコのヤン・ムラーデク産業貿易大臣と、20日にポルトガルのミゲル・フラスキーリョ投資貿易振興庁(AICEP)総裁と、また26日にはクロアチアのゴルダン・マラス中小企業大臣と、それぞれ懇談した。

■ ムラーデク産業貿易大臣(チェコ)

ムラーデク・チェコ産業貿易相

チェコのムラーデク大臣からは、(1)9カ月前に発足した現政権は、EUの統合と深化に前向きであり、2020年のユーロ導入を目標としている(2)産業構造を付加価値の高い製造業にシフトしていくためには、企業における研修制度等を通じて技術を学ぶ大学生を増やすとともに、研究開発を促進する必要がある(3)原子力発電については、現在2カ所の入札案件が進行中であるが、今後も安全を重視しながら増やしていく(4)チェコへは製造業を中心に約250の日系企業が進出しており、4万4000人の雇用を創出している。日本はドイツに次ぐ第2の投資国であるが、最近、韓国・米国・ドイツ企業が新規に、または拡張して投資を行っており、日本からも新規投資を期待している――との発言があった。

■ フラスキーリョAICEP総裁(ポルトガル)

ポルトガルのフラスキーリョ総裁は、(1)欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金による金融支援は予定どおり今年5月に終了したが、この間、労働市場の柔軟性確保、官僚主義の打破など諸改革に取り組んできた(2)13年に31.5%であった法人税率を18年には17%まで引き下げることとしており、これによって立地競争力は一層高まると考えている。また、対内直接投資については、投資対象地域や雇用数などに応じて税制面の優遇措置も用意されている(3)EU加盟国およびポルトガル語圏諸国連合体メンバーへの投資にあたって、ポルトガルは理想的なパートナーとなり得る(4)日本とは政治・経済両面で良好な関係にあるが、貿易・投資には拡大の余地がある。AICEPでは世界のなかから16カ国を選び、投資誘致を強化しているが、日本はその一つである――とし、今こそポルトガルに投資すべきであると強調した。

■ マラス中小企業大臣(クロアチア)

マラス・クロアチア中小企業相

クロアチアのマラス大臣からは、(1)クロアチアは欧州諸国のうち、最もアジアに近い国の一つである。特にリエカ港はアジアと欧州を最短距離で結んでおり、欧州市場へのハブとして利用できる(2)クロアチアでは、教育水準の高い労働力を比較的安価なコストで確保できる。近年、中国・韓国企業の存在感が増しているが、日本企業の進出を期待している(3)日本からクロアチアへの観光客は年間16万人まで増加した。今後はマーケティング対象をさらに広げることとしており、この分野でも日本との協力拡大の可能性がある――との発言があった。

佐藤共同委員長からは、日EU経済連携協定の早期妥結に向けて理解と支援を求めたところ、いずれの国からも、協定実現への期待と継続的な支持の表明があった。

【国際経済本部】