Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年12月11日 No.3204  海洋資源開発の調査に関する取り組みを聞く -海洋開発推進委員会総合部会

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会総合部会(山脇康部会長)を開催した。海洋研究開発機構の堀田平理事、木川栄一・海底資源研究開発センター長を招き、海洋資源開発の調査に関する取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 新たな海洋産業の創出に向けて=堀田氏

今年5月、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一つに、次世代海洋資源調査技術が選ばれた。これは、各省庁の連携によって海底資源探査技術を開発し、新たな海洋調査産業を創出することを目標とするものである。

海洋研究開発機構では、関係省庁が所管する国立の研究所と連携しながら海底資源の調査技術の研究を進めている。産業界には、海底資源開発の重要性について理解をお願いしたい。

■ 海洋研究開発機構の取り組み=木川氏

政府は昨年4月に第2期海洋基本計画、昨年12月に海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を策定し、海底資源の調査や開発のロードマップを示した。

こうした動きを受けて、海洋研究開発機構は今年4月に海底資源研究開発センターを設置した。7月から次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトを開始して、SIPに対応している。

海底熱水鉱床とは、海底のマグマが噴出して金属を含む成分が海水に冷やされてできる鉱床であり、平成30年代後半以降にこの商業化を目指したプロジェクトを開始することとしている。日本近海では、伊豆・小笠原海域と沖縄海域において海底熱水鉱床を調査しており、全体で5000万トンと推定されている。今年7月には、沖縄近海に巨大な海底熱水鉱床が発見された。

また深海底の海山の頂部や斜面には、コバルトリッチクラストという鉱床がある。コバルト、ニッケル、マンガン、白金などを含む酸化物であり、平成40年末までに商業化の可能性を検討することにしている。今後、南鳥島の排他的経済水域のコバルトリッチクラストを調査する予定である。

このほか昨年、海洋研究開発機構と東京大学の加藤泰浩教授が協力して南鳥島付近を調査したところ、水深5600メートル以下の海底に高濃度のレアアースがあることを発見した。今後、レアアースの成因を解明し、より浅い海域での発見を目指している。

メタンハイドレートはメタンガスと水が低温高圧下で結合してできる物質であり、平成30年代後半の商業化のためのプロジェクト開始を目指して技術開発が進められている。昨年3月、政府は愛知・三重県沖の海底のメタンハイドレートからガスを産出した。また2012年に海洋研究開発機構が紀伊半島沖の泥火山を調査したところ、大量のメタンハイドレートの存在を確認できた。

【産業技術本部】