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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年1月29日 No.3209 日EU EPA交渉の現状など聞く -ヨーロッパ地域委員会

経団連は12月26日、東京・大手町の経団連会館でヨーロッパ地域委員会を開催(座長=佐藤義雄共同委員長)し、外務省の長嶺安政外務審議官、経済産業省の鈴木英夫通商政策局長から、日EU経済連携協定(EPA)交渉の現状などについて説明を聞いた。概要は次のとおり。

■ 長嶺外務審議官説明

交渉開始1年後のEU側による「見直し」の結果、2014年6月に交渉継続が決定し現在、交渉は第2ステージに入っている。14年11月の安倍晋三首相とユンカー新欧州委員長との首脳会談では、15年中の大筋合意を目指して交渉を加速化することで認識の一致をみた。12月には、第8回交渉会合を東京で開催した。次回は15年2月にベルギー・ブリュッセルで開催する予定である。主要分野における現状は次のとおりである。

  1. (1)非関税措置=わが国経済活性化の観点からも当初から取り組んできた。EUから新たに提示のあった措置については、今後議論する予定。
  2. (2)物品市場アクセス=わが国がこれまで締結したEPAに比べて高い水準のオファーを提示。日EU双方がセンシティブ品目に配慮しつつ、包括的かつ高いレベルのEPAを目指して交渉中。
  3. (3)鉄道=14年10月、EUがWTO政府調達協定の対象からのJR本州3社の除外に関する異議撤回をWTOに通報し、3社の協定からの除外が決定したことは交渉の成果。12月には、第2回日EU鉄道産業間対話を開催。協調的な関係を構築する方向に舵を切っていくことが重要。

EUとのEPAは、公平な競争条件を確保するためだけではなく、貿易投資のルールづくりという意味でも重要である。そのためには、EUに対して、日本企業が問題を抱えていること等を主張していくことが大切である。引き続き経済界の支援をお願いしたい。

■ 鈴木通商政策局長説明

海外への投資で稼ぐとともに、21世紀型の貿易投資ルールを形成するうえでEPAの重要性が増している。

日EU間の貿易が均衡するなか、関税をできる限り早期に撤廃する一方、規制・制度の調和など前向きな取り組みを進めることが双方にとってメリットが大きい。EU米国間の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)も規制・制度の調和によって障壁を撤廃しようとしている。TTIPが先行するかたちで新たな基準などをつくられると、わが国が排除されるリスクもある。むしろ日EUが先行するかたちで幅広く規制・制度の調和を進める必要がある。

EUは、単一市場を形成した経験から、また、国の数のうえでも国際的な規制の策定や普及に強い影響力を有している。そのようなEUと協力することによって、企業活動の負担は大きく変わってくる。また、そうすることは、将来の技術の市場投入をにらんだ国際ルールづくりのカギとなる。

当省と欧州委員会域内市場・産業・起業・中小企業総局との間で毎年開催している日EU産業政策対話において、規制協力の具体的議論を進めることに合意し、さまざまな分野で議論を行っている。規制協力についてはEPA交渉でも議論している。継続的な幅広い仕組みとすることによって、わが国産業の発展に貢献していく。

【国際経済本部】

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