Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月19日 No.3212  地球温暖化問題を技術で解決する~産業界の取り組み<7> -自動車業界が推進する生産や走行における温暖化対策

自動車業界は地球温暖化対策の観点から産業部門および運輸部門におけるCO2の排出量抑制に積極的に取り組んでいる。

日本自動車工業会は、低炭素社会実行計画のもと自動車生産時のCO2排出量を2020年度に709万トン-CO2(1990年度比28%減)にするという目標の達成に向けて日本自動車車体工業会とともに取り組み、2013年度の排出実績は、生産台数の増加にもかかわらず、725万トン-CO2と前年に対し10万トン削減することができた。

■ 低炭素社会実行計画フェーズⅡの策定

自動車業界は、2030年度を目標とする低炭素社会実行計画フェーズⅡを(1)国内の事業活動からの排出削減(2)主体間連携(3)国際貢献(4)革新的技術開発――の4本柱で策定した。

図表1 国内の企業活動(生産にかかる)における2030年の削減目標

(1)国内の事業活動からの排出削減

自動車生産時に排出するCO2の削減については2030年度の排出量目標662万トン-CO2(1990年度比33%減)とした。2020年度の目標と同様、その達成に向けて、日本自動車車体工業会とともに取り組む(図表1参照)。

図表2 日本の運輸部門のCO2排出量削減の状況
図表3 乗用車の燃費向上技術例

(2)主体間連携の強化(製品によるCO2削減)

運輸部門のCO2排出量は2001年度をピークに減少傾向にある(図表2参照)。その主な要因としては自動車の燃費向上があげられ、自動車メーカーは燃費向上のために、エンジン効率の向上、車両の軽量化など数多くの技術を投入している(図表3参照)。

また、より環境負荷の低い次世代自動車の開発・販売に積極的に取り組んでいる。次世代自動車の乗用車販売台数に占める割合は、ハイブリッド車を中心に25%前後にまで拡大している。今後のCO2削減の手段としても期待されている電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル車についても、引き続き開発と普及に取り組む。

(3)国際貢献

海外の生産拠点において省エネ対策を実施するとともに、次世代自動車の普及により、約4300万トン~7300万トンのCO2削減ポテンシャルがあることから、自動車業界は今後グローバルなCO2削減に積極的に取り組む。

(4)革新的技術開発

自動車生産においては、Wet on Wet 塗装、アルミ鋳造のホットメタル化のさらなる効率化に加え、再生可能エネルギーの拡充、ヒートポンプの活用(未利用熱活用)を図る。また、従来車の燃費改善とともに、次世代自動車の開発・普及、ITS(高度道路交通システム)の推進に最大限取り組む。

■ 統合的対策の推進

運輸部門のCO2排出量を最も合理的に削減するためには、燃費向上や次世代自動車の普及といった単体対策のみならず、交通流対策やエコドライブ普及、燃料の低炭素化が重要である。

これらの統合的対策は、国内のみならずグローバルでも重要であり、COP15・16(2009年、2010年)においては、米国自動車工業会(AAM)・欧州自動車工業会(ACEA)との3極連携でサイドイベントを実施し、統合的対策によって、世界の運輸部門CO2排出量がピークアウトできることを訴求した。また、2014年10月には、国連本部でエコドライブカンファレンスが開催され、統合的対策の重要性が議論された。

統合的対策について、政府の積極的な取り組みに期待するとともに、日本自動車工業会としても政府の取り組みに協力する。

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自動車業界としてはこのように、国内外で自動車生産の省エネ化や次世代自動車等の積極的な投入、また、交通流対策やエコドライブの普及などを通してグローバルな温暖化対策に貢献していく。

(日本自動車工業会)
【環境本部】

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