Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月5日 No.3214  ロシア経済の展望と極東地域の経済特区について説明を聞く -ロシア官民ミッションが訪日/日本ロシア経済委員会

懇談会でのロシア官民ミッション一行

経団連の日本ロシア経済委員会(佐々木則夫委員長)は2月10日、都内でアレクセイ・レピク露日ビジネスカウンシル議長・実業ロシア会長、スタニスラフ・ヴァスクレセンスキー経済発展省次官、マクシム・シェレイキン極東発展省次官を含む約20名のロシア官民ミッションとの懇談会を開催、ロシア経済の現状や展望、極東の経済特区等の説明を聞き、意見交換を行った。
ロシア側の説明概要は次のとおり。

■ 露日ビジネスカウンシル発足により露日経済関係のさらなる拡大に期待=レピク議長

2014年12月、露日経済関係の発展に向けて露日ビジネスカウンシルが発足した。同組織の会員には、エネルギー分野のみならず、重機械、自動車・同部品、医薬品、医療機器、食品、不動産、金融など広範な分野のロシア企業が含まれている。

ロシアで活動する企業は、原油価格急落に伴うルーブル安により、特に輸入の面で困難な状況にある。一方で、国産品の輸出価格競争力が高まったことで、高付加価値製品の輸出は拡大している。

■ ロシア経済は今年落ち込むも来年は回復=ヴァスクレセンスキー次官

ロシア経済の不調は13年から始まっており、原油価格の急落と金融分野の対露経済制裁により、今年のロシア経済は縮小する。しかしながら、わが国の債務はGDP比15%以内に収まっており、失業率が5.2%と先進国のなかで最も低い水準にあるほか、外貨準備も約4000億ドル保持している。過去に直面し、克服した同様の経済危機の経験を活かし、来年には成長に転換するだろう。

世界銀行が毎年実施するビジネス環境ランキングにおいて、ロシアは4年前の第124位から、今年は、インドや、ブラジル、中国などのBRICs諸国よりも高い第62位へと急成長を遂げた。わが国は、対アジア輸出の拡大を見据えた投資誘致を優先課題に掲げており、日本企業と協力することで、アジア諸国におけるシェアを拡大できると考えている。

■ 極東の経済特区への日本企業の進出に期待=シェレイキン次官

プーチン大統領は、極東開発を国家成長戦略の重要分野に位置づけている。同時に、経団連が毎年取りまとめている「ロシアのビジネス環境等に関するアンケート結果」(注)には、日本企業の極東地域の将来性への期待が年々高まっていることが示されており、理にかなっている。しかし、アンケート結果で指摘されているロシアのビジネス環境の問題は、極東の経済特区には存在しない。

例えば、「各種許認可取得までの所要時間が長く、手続きが煩雑」と指摘される行政の問題については、特区の運営会社に窓口を一本化することで解決するだろう。また、電力などのインフラ整備の効率化、外国人の雇用手続き、輸出入手続きの簡素化など、ビジネス環境を着実に整備しているところである。他の経済特区と比較しても、豊富な天然資源へのアクセスとアジア太平洋地域への隣接等に優位性があることに注目していただきたい。

(注)ロシアのビジネス環境等に関するアンケート結果=http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/087.pdf 参照

【国際経済本部】