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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月19日 No.3216 提言「未来創造に資する『科学技術イノベーション基本計画』への進化を求める」を公表 -第5期科学技術基本計画の策定に向けた第2次提言

経団連(榊原定征会長)は17日、提言「未来創造に資する『科学技術イノベーション基本計画』への進化を求める~第5期科学技術基本計画の策定に向けた第2次提言」を公表した。2016年度から5年間のわが国の科学技術イノベーション政策の方向性を定める第5期科学技術基本計画について、政府の検討にあわせ経団連の考え方を取りまとめた。提言の概要は次のとおり。

■ 計画策定にあたって

産業界として総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の活躍を高く評価をしており、第5期計画がイノベーション創出に向けた構想力あふれる5カ年計画となることを期待している。第5期計画の策定にあたっては、経団連ビジョンで掲げた「目指すべき4つの国家像」(図表参照)を参考に、国家ビジョンに基づいた計画策定を求める。

■ 未来創造に向けた重要視点

第一の視点は、「ICTによる新しい産業革命」である。IoT(Internet of Things)の実現により、あらゆる「モノ」や「コト」がインターネットに接続され、社会や産業の構造が大きく変化するなか、「システム思考」でイノベーションを推進することが重要である。

第二の視点は、「システム重視の国際標準化への対応」である。標準化において、製品単位からスマートシティなどのシステム単位へと潮流が変化しており、対応が不可欠である。

第三の視点は「オープンイノベーションの本格的推進」である。製品やサービスが高度化かつ複雑化するなか、異業種連携や産学官連携を推進するとともに、産学官が一体となって課題を共有し、基礎・応用・実用化の研究フェーズを同時かつ連続的に推進することが必要である。

■ 未来創造に向けた具体的な重点課題

重点課題の第一は「国としての省庁横断・革新的課題への挑戦」である。国による革新的な研究開発プログラム(注1)を第5期計画でも継続することを明記し、その実現を図ることを求める。

次に「資源・環境・エネルギー等の制約の克服」「超高齢社会への対応」「安全・安心、国家の存立」に向けて、科学技術イノベーションによるそれぞれの課題解決と世界に向けた発信が必要である。

さらに「共通基盤技術の強化」が不可欠である。産業競争力強化に向けて、ICT、ロボット、バイオテクノロジーなど、産業の共通基盤となる要素技術の強化が重要である。

■ イノベーション・ナショナルシステム(注2)の強化

国としてのイノベーション創出力を強化するため、(1)CSTIの司令塔機能のさらなる強化(2)国立大学改革(3)研究開発法人改革(4)資金制度改革(5)地方創生に資する新しいクラスターの形成(6)人材の育成と国民の理解と支持(7)科学技術予算の着実な確保――が必要である。例えば、国立大学については、機能分化(注3)や資金制度の一体的改革などにより、特色ある魅力的な大学となることが期待される。

■ 産業界としての取り組み

イノベーション創出に主体的な役割を果たすのは民間企業であり、イノベーション創出に向けて努力していく。オープンイノベーションへの対応やハイリスク研究への挑戦のほか、政府の研究開発プログラムやCSTIの事務局機能の強化に、引き続き協力を行うとともに、改革によって、魅力的となった国内の大学に対して、共同研究や産学連携の充実に努める。

(注1)SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)やImPACT(革新的研究開発推進プログラム)
(注2)イノベーション・ナショナルシステム=大学・公的研究機関・企業等の各セクターが協調し、イノベーションを創出する国全体の仕組みを表した概念
(注3)それぞれの国立大学は、「国際水準研究教育大学」「地域イノベーション中核大学」「特定分野中核大学」のいずれかを選択し、選択に沿った機能強化を行う

※提言の全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/026.html 参照

【産業技術本部】

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