Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年3月19日 No.3216  海洋産業振興および海洋人材育成の課題を聞く -海洋開発推進委員会

説明する浦氏

経団連は3日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会(山内隆司委員長)を開催した。浦環・九州工業大学社会ロボット具現化センター長を招き、海洋産業振興および海洋人材育成に関する課題について説明を聞くとともに意見交換を行った。浦氏は、政府の総合海洋政策本部の参与会議(座長=宮原耕治経団連副会長)の参与を務めている。
説明の概要は次のとおり。

■ 海洋人材の重要性

2007年に海洋基本法が成立し、08年に海洋基本計画、13年に第2次海洋基本計画が策定された。この間、私は参与会議の参与を3期務めており、海洋人材の育成が重要であると言い続けた。

政府の総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の10個のテーマの一つが、次世代海洋資源調査技術である。これは海洋資源調査産業の創出を目指すものであるが、将来、事業化を進めるにあたり、人材育成が求められる。

わが国の近海では、太平洋側の海底の下に砂層型メタンハイドレートがある。一方、日本海側には海底の表面に表層型メタンハイドレートがある。例えば新潟県の直江津沖合の表層型メタンハイドレートは、私がつくったロボットで調査したが、このように現場でオペレーションができるとともに、基礎的な研究ができる人材が必要である。

■ 参与会議の取り組み

海洋産業における人材育成・教育の課題として、(1)学習指導要領に海洋教育を位置づけること(2)海洋開発に参加する人材育成の新たな組織づくり(3)地域海洋新産業創出プログラムによる人材育成――の構想の三つがある。

(2)については、昨年、前期の参与会議のワーキンググループがまとめた報告書で、海底鉱物資源や石油を開発する海洋産業において、技術者やプロジェクトマネージャーの育成が課題となっており、大学、企業、独立行政法人、政府が協力して人材を育成する組織をつくる必要があると指摘した。

(3)については、安倍内閣が取り組んでいる地方創生において、地域や離島の再生のために海が非常に重要である。

われわれは、海を経由してさまざまなものを輸入、輸出している。海から恩恵を受けたお礼として、産業界は海に対する研究のファンドをつくるべきである。産学官の協力を進めて、研究者などの海洋人材を育成すべきである。

【産業技術本部】