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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年4月23日 No.3221 人口問題に関する政府の総合的な取り組みを聞く -経済政策委員会

経団連の経済政策委員会(岡本圀衞委員長、上釜健宏共同委員長)は8日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府の羽深成樹政策統括官(経済社会システム担当)と小野田壮子ども・子育て本部審議官から「人口問題に関する政府の総合的な取り組み」をテーマに講演を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 「選択する未来」委員会報告について=羽深政策統括官

現状が続けば、わが国の人口は2060年には13年比で、約30%減少する。経済成長と社会保障を支える家計負担の軽減を実現するためには、生産性の向上と人口の安定が喫緊の課題である。

こうした問題意識のもと、経済財政諮問会議の下に設置された「選択する未来」委員会の昨秋の最終報告では、50年後に1億人程度の安定した人口構造を目指すべきとした。

同報告では、2000年代に入り東京圏における20歳代後半および30歳代は流入超過に転じた一方で出生率は相対的に低いという分析結果等を踏まえ、地域の特色を活かした豊かな成長・発展を図ることで、東京一極集中を反転し、出生率を引き上げていくべきとしている。

この方向性は「まち・ひと・しごと創生会議」を取りまとめた、地方創生の「総合戦略」にも反映されており、政府は自治体に対して、地域経済分析システムの整備による情報面での支援のほか、人的支援、財政支援を切れ目なく展開するとしている。

■ 「少子化社会対策大綱」について=小野田子ども・子育て本部審議官

「選択する未来」委員会報告や地方創生の議論を踏まえ、政府は「少子化社会対策大綱」を3月に取りまとめた。従来、少子化対策は子育て支援を中心に据えていたが、同大綱では、結婚、妊娠、子ども・子育てに温かい社会の実現に向けて、教育や結婚段階からの取り組みを行うことや社会全体で行動していくべきことを打ち出し、また、今後5年間を「集中取り組み期間」と位置づけている。

重点課題の一つに多子世帯への一層の配慮を掲げている。これは夫婦の半数近くが理想の子どもの数を3人以上としていることを踏まえている。企業の協力もいただきながら、「子育て支援パスポート事業」の一層の普及と全国展開、多子世帯への支援の充実等を行っていきたい。

あわせて、踏み込んで記載したのは、男女の働き方改革である。例えば、男性の育児のための休暇取得を推進すべく、20年までの数値目標として、配偶者の出産直後の休暇取得率80%を掲げている。また、部下の子育てを応援する上司等を評価する方策を検討するとした。

<意見交換>

意見交換では、「少子化対策を充実させるため、高齢者から若者へ政策資源をシフトさせていくべき」「少子化問題の解決には男性の育児参加が当然と社会全体で認識されることが不可欠」等の意見があった。これに対して羽深統括官から、「規制緩和により、保育サービスの分野に民間が参入できるようにすることが重要」、小野田審議官から「働き方改革に際しては、企業の経営トップの意識変革がきわめて有効」といった回答があった。

【経済政策本部】

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