Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年6月25日 No.3229  「エネルギーミックス(案)・約束草案(政府原案)に関する懇談会」を開催

政府は今月初め、「長期エネルギー需給見通し小委員会」および「地球温暖化対策推進本部」において、2030年における日本の「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」の案と、温室効果ガス削減目標に関する「約束草案」の政府原案をそれぞれ提示し、現在パブリックコメントの募集を行っている。

この機をとらえ、経団連は12日、東京・大手町の経団連会館で「エネルギーミックス(案)・約束草案(政府原案)に関する懇談会」(座長=鯉沼晃・資源・エネルギー対策委員会企画部会長)を開催し、資源エネルギー庁の吉野恭司審議官と経済産業省産業技術環境局の三又裕生審議官から、両政府案の内容について説明を聞くとともに、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 長期エネルギー需給見通し案について ― 吉野審議官

今回の政府案はまず、エネルギー政策の基本的視点である安全性、安定供給、経済効率性、環境適合(S+3E)について、達成すべき政策目標を想定し、そのうえで、政策の基本的な方向性に基づく施策を講じた時に実現される将来のエネルギー需給構造を見通したものである。そうした意味で、今回のエネルギーミックスの数字は裏づけのある内容となっている。

2030年度のエネルギー需要は、省エネを徹底することで、年平均1.7%の経済成長を想定しつつも、13年度より減少することを見込んでいる。

30年度時点の電源構成については、再生可能エネルギーが22~24%程度、原子力20~22%程度、LNG火力27%程度、石炭火力26%程度、石油火力3%程度を見込んでいる。これにより、足もと6%程度と先進国で最低の水準となっているエネルギー自給率は、24.3%まで改善することとなる。

電力コストは、東日本大震災以降の原子力発電所停止に伴う火力の焚き増しによる燃料費増と、再生可能エネルギー拡大に伴う固定価格買取費用の増大により、10年度の4.9兆円から、13年度には9.7兆円まで増加した。これを30年度には、現在の水準よりも引き下げていくことを目指す。

7月中旬には最終的な「長期エネルギー需給見通し」を示し、その後、この内容を具体化するための検討を進めていく。

■ 約束草案(政府原案について) ― 三又審議官

わが国の約束草案(政府原案)では、30年度の温室効果ガスを13年度比で26.0%削減するとした。同案では、エネルギーミックスをはじめとする個別の裏づけある具体策の「積み上げ」によって、目標を設定している。

今月7~8日にドイツで開催されたG7サミットで安倍総理から同案の内容を表明したところ、各国首脳から好意的な反応が複数あった。

日本のGDP当たりのエネルギー使用量は世界最高水準にあり、削減余地は限られているが、そこからさらに野心的な改善を目指すこととしている。公平性の確保という点からは、ある年からの削減率の比較だけではなく、多面的な評価がなされるべきである。

約束草案に掲げた目標の実現に向け、今後「低炭素社会実行計画」のフォローアップをしっかりと行っていくほか、国民運動「COOL CHOICE」を展開するなど、PDCAサイクルを回していく。また、日本が技術を通じて地球規模の温室効果ガス削減に貢献できるよう、革新的技術の開発や途上国への普及を促す環境整備を進めていく。

【環境本部】