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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年6月25日 No.3229 日弁連「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス」について説明を聞く -企業行動・CSR委員会CSR部会

説明する齊藤弁護士(左)と高橋弁護士

経団連は10日、東京・大手町の経団連会館で企業行動・CSR委員会CSR部会(小口正範部会長)を開催した。日本弁護士連合会(日弁連)企業の社会的責任(CSR)と内部統制に関するプロジェクトチームの齊藤誠座長および高橋大祐弁護士から、同プロジェクトチームが作成した「人権デュー・ディリジェンス(以下、人権DD)のためのガイダンス」について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

2011年6月に国連人権理事会において全会一致で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」により、企業にとって人権の尊重は法令を超えた社会的責任から法令順守問題へと転換した。国際人権基準は、国内外の裁判規範とはならないが、企業の行動に関する実質的な評価・判断基準となり、今後、契約条項として要求されてくる可能性もある。とりわけ20年の東京オリンピック・パラリンピックを機に、日本国内の人権配慮の取り組みに海外からの注目が集まることが予想され、日本企業にはこれまで以上に国際人権基準に則った企業行動が求められる。

指導原則は、企業が人権を尊重する責任の内容として、トップによるコミットメント、人権DDプロセスの実施、問題があった場合の改善措置の3要素を示している。このなかで、企業は自社の人権に対するインパクトを洗い出し、その影響の深刻度と発生可能性に応じて優先順位をつけなければならない。そして、(1)企業活動を通じて直接的に人権を侵害した場合(2)人権侵害を助長した場合(3)取引関係を有する企業が人権を侵害した場合――に分類し、人権侵害と企業活動との関連性に応じた対応を求めている。

日弁連は「人権DDのためのガイダンス」において、人権DDへの実践的な助言を提供するとともに、企業の人権尊重責任の実践例も紹介している。さらに、日本企業にとって特に重要性の高い、サプライチェーンにおける人権配慮の取り組みを推進するためのツールとして「CSRモデル条項」を提案し、企業担当者にわかりやすいように暴力団排除条項と比較して、その内容を解説している。同ガイダンスについては将来的に改訂を検討しており、今後、これを利用する企業の意見も聞きながら、より内容を発展させていきたい。

※「人権DDのためのガイダンス」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2015/opinion_150107_2.pdf 参照

【政治・社会本部】

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