Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年7月23日 No.3233  2015年度防衛産業委員会総会を開催 -「わが国の防衛産業政策」テーマに西事務次官が講演

講演する西事務次官

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で防衛産業委員会(宮永俊一委員長)の2015年度総会を開催した。総会では、防衛省の西正典事務次官から「わが国の防衛産業政策」をテーマに講演を聞いた。

講演に先立ち、総会議件として、14年度の活動報告と収支決算、15年度の活動計画と収支予算が報告された。また、防衛生産委員会から防衛産業委員会に名称変更したことに伴い、委員会の規約を改正した。

■ 講演「わが国の防衛産業政策について」

6月に改正防衛省設置法が成立し、10月1日に防衛装備庁が設立される。防衛装備庁の職員数は、文官約1400名と自衛官約400名を合計した約1800名である。防衛省の内局、陸海空各幕、技術研究本部、装備施設本部などの装備に関する部門が集約される。

装備移転については、弾道ミサイル防衛システムの日米共同開発等が武器輸出三原則等の例外とされ、わが国は開発に参加していた。一方、戦闘機F-35の国際共同開発において、米国が世界のすべてのF-35を管理するシステムができたが、わが国は最初から参加できなかった。F-35は他の戦闘機より技術的にはるかに優れていたため、わが国は次期戦闘機として採用した。これが、武器輸出三原則を見直し、防衛装備移転三原則を策定する大きなきっかけとなった。

今後は、わが国の装備品の海外への移転について、いかに実効性を高めていくかが課題である。現在、オーストラリアの「将来潜水艦」に対する技術的な支援について検討している。オーストラリアへの移転の検討にあたっては、わが国の官民がその役割に応じた適切な体制を構築する必要がある。また、装備品のサプライチェーンについて把握することが求められる。仮に潜水艦を移転することになれば、その運用や維持をするための人材が必要である。

これまでわが国は、装備技術の国際協力については、アメリカを相手とする経験しか有してこなかったが、今後、海洋安全の確保といった視点で、特にASEAN諸国との協力を進めなければならない。例えば、ODAを活用してインドネシアに巡視船を供与したが、今後は運用や維持まで含めてノウハウを提供する必要がある。

わが国の周辺情勢として、北朝鮮や中国の軍事技術は向上している。一方で、わが国では武器技術のインテリジェンスを強化していく必要があり、今後は技術者を含めた装備技術に通じた人材を幅広く育成する必要がある。

装備品の海外移転や国際共同開発には、政府と産業界が一体となって取り組まなければならない。

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総会終了後、懇親会が開催され、防衛産業委員会のメンバー、左藤章防衛副大臣、国会議員、政府関係者、有識者など約200名が参加した。

【産業技術本部】