Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年7月30日 No.3234  最近の日ミャンマー関係の動向について聞く -日本ミャンマー経済委員会

経団連は21日、東京・大手町の経団連会館で日本ミャンマー経済委員会(小林健委員長、朝田照男委員長)を開催した。外務省アジア大洋州局の山田滝雄南部アジア部長、経済産業省貿易経済協力局の吉田泰彦戦略輸出交渉官、文部科学省の佐野太大臣官房審議官、岡山大学の荒木勝理事・副学長から、最近の日ミャンマー関係をめぐる各々の取り組みについて、説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。

■ 最近の日ミャンマー関係(山田外務省南アジア部長)

7月4日、日・メコン首脳会議でテイン・セイン大統領が訪日した折、日ミャンマー首脳会談を開催した。会談では、日本側から、日・ミャンマー共同イニシアティブおよび「ミャンマー産業発展ビジョン」に沿って、ミャンマーの産業育成・インフラ整備・地方発展に貢献していくことを表明した。加えて、日本からミャンマーに対する総額1000億円の円借款((1)ヤンゴン環状鉄道改修計画(2)全国基幹送変電設備整備計画フェーズⅡ(3)東西経済回廊整備計画)の供与を決定したほか、ダウェー経済特別区開発への参画をコミットした。

今年11月のミャンマーの総選挙は、これまでの経済改革の成果と今後の行く末を占ううえで非常に重要で、政権与党の連邦連帯開発党(USDP)、最大野党の国民民主連盟(NLD)に、台頭する少数民族政党を加えた混戦が予想される。

■ ミャンマー産業発展ビジョン(吉田経済産業省交渉官)

急速に進む経済改革の加速化と、都市と地方の均衡ある発展を目指すミャンマー政府の要請を踏まえ、経済産業省を中心に「ミャンマー産業発展ビジョン」を取りまとめ、7月3日に安倍総理からテイン・セイン大統領に手交した。

同ビジョンでは、都市における外資主導の労働集約型産業の発展と、地方の農林水産業や地場産業の発展の好循環を起こす「都市・地方シナジー開発戦略」を掲げ、その実現に必要となる、(1)電力・交通インフラの整備(2)予見可能で効率的な法制度(3)人材育成(4)戦略的産業政策――等を提示している。

今後、同ビジョンの基本的考え方をもとに、ミャンマー政府が次期5カ年計画を策定する。

■ ミャンマー留学コーディネーター配置事業(佐野文部科学省審議官、荒木岡山大学理事・副学長)

ミャンマーをめぐっては、世界的に人材獲得競争が起こっている。ミャンマー政府は大統領奨学金を設け、各国に留学生を派遣しているが、日本の受け入れ態勢は十分ではない。

そのような状況を踏まえ、昨年、文部科学省は「ミャンマー留学コーディネーター配置事業」を開始し、岡山大学を中心とする6大学が受託した。

今後、日本への留学をサポートし、企業のニーズに合う留学生をさらに増やして、日本企業の就職につなげる方策等について、産学官の協議の場を設ける予定である。関心をお持ちの企業の皆さまにご協力いただきたい。

【国際協力本部】