Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年11月19日 No.3247  最近の教育再生に向けた動向を聞く -教育問題委員会企画部会

来年度から政府が策定する教育に関する総合計画である「第3期教育振興基本計画」の検討が中央教育審議会(中教審)で始まることから、経団連の教育問題委員会企画部会(三宅龍哉部会長)では、今年秋以降3回にわたって文部科学省幹部と教育施策について意見交換を行うこととしている。
その第1回会合を10月20日、東京・大手町の経団連会館で開催した。

■ 真の学ぶ力を育成するための教育改革

まず、伯井美徳大臣官房審議官は、わが国が現在、少子高齢化による生産年齢人口の減少、新興国企業等とのグローバル競争の激化、貧困層の拡大や経済格差の固定化等に直面していることを踏まえ、「これらの課題を克服し、日本が持続的な経済成長を維持していくためには、教育改革を通じて、これまでの学力観を転換し、学ぶ知識量がゆとりか詰め込みかの議論を脱して、知識や技能を活用して課題を解決する力、判断力、表現力や主体的に多様な人々と協働して学習する態度など、『真の学ぶ力』を育む必要がある」と指摘した。

そのうえで、「学習指導要領(注)も育成すべき素質・能力の観点から抜本的に見直す必要がある」と述べ、2016年度中に答申予定(2020年から実施)の次期学習指導要領では、「何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかの視点から改訂を検討している」と説明した。

具体的には、小学校高学年からの英語の教科化をはじめ、グローバル社会で求められる力の育成や、国家および社会の責任ある形成者を育むため、高等学校における「歴史総合」「地理総合」「公共」などの新科目の設置、課題の発見と解決に向けて、体験学習、グループ討議、意見発表など児童・生徒が主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善など、検討状況の説明があった。

■ 教育再生は経済再生と並ぶ重要課題

続いて岩本健吾生涯学習総括官が、現政権の教育再生への取り組みとして、2013年度から始まった第2期教育振興基本計画の内容や進捗、教育再生実行会議の提言内容とそれらを受けて実施されている施策などについて説明した。

岩本氏は「教育再生は、経済再生と並ぶ安倍政権の重要課題であり、総理が主催する教育再生実行会議においてこれまでに8次にわたる提言がなされ、文部科学省では、それらや中教審における議論を踏まえて教育再生の実現に取り組んでいる。来年度からは中教審で第3期教育振興基本計画の策定に向けた検討が始まるので、今後の教育政策について経団連と広く意見交換を行い、議論を深めていきたい」との期待を示した。

(注)学習指導要領=学校教育法に基づき国が定める教育課程の基準、教育目標や指導すべき内容を体系的に示す

【教育・スポーツ推進本部】