Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月17日 No.3251  「中堅・中小企業における若手の活躍推進」テーマに企業事例聞く -起業・中堅企業活性化委員会人材活躍推進部会

経団連は11月30日、東京・大手町の経団連会館で起業・中堅企業活性化委員会人材活躍推進部会(立石文雄部会長)を開催した。中堅・中小企業における若手社員の活躍推進をテーマにスターティアと大成機工の取り組みを聞き、意見交換を行った。両社の取り組みの概要は次のとおり。

■ スターティアにおける若手の活躍推進

当社における若手の活躍推進に向けた取り組みには、いくつかのキーワードがある。

新卒採用に向けた取り組みでは、「オヤカツ」がその1つである。これは、内定者の保護者を対象とした会社説明会の実施が主な内容である。説明会では経営トップから理念や事業内容等を説明し、保護者の理解と応援を得ることで、内定辞退や早期退職の防止に向けた支援を目指している。

若手の定着に向けては「スターティア筋肉祭」として、年1回、全社員参加の運動会を開催している。さまざまな部門や拠点の社員が協力して準備をし、一丸となって勝利を目指すことを通じて、社員同士の横のつながりの強化を図っている。

人材育成の取り組みのキーワードは「1%」である。ビジネスのグローバル展開に向けて、グループ全体の経常利益の1%を目安に人材育成に関する投資を行うものであり、新規事業アイデアコンテストを通過した数名に対して、国内での研修と海外視察の機会を与えている。

以上のような施策を通じて、「自ら考え、自発的に行動できる力」を持った人材の育成を推進するとともに、新たな活躍の場を継続的に提供できるよう、会社の成長に邁進していきたい。

■ 大成機工における若手の採用・育成

公共性の高い水道関連の製造販売、工事を主な事業とする当社は、水道界はじめ社会の支援があってこそ事業を永続できるとの考えから、社是である「感謝と報恩への努力」に従い、社会貢献活動を行っている。

社会貢献活動を通じて生まれた縁が、高校からの新卒採用に効果をもたらした2つの事例を紹介する。

第1は「民間企業派遣研修」への協力がもたらした効果である。同制度は、教職員が資質や指導力の向上等を目的に、大阪府教育委員会の指定する企業において6カ月間の研修を受けるものである。当社はこの企画が始まった翌年から参加し、これまで15年連続で15名の受講者を受けいれている。

受講者には、工場や営業、工事の現場等での研修を通じて、社是や創業者の考えに沿って、社会インフラである水道の維持管理に日々取り組む当社の姿勢に共感してもらえるよう努めている。その結果、就職を希望する学生を積極的に推薦してもらえるようになった。

第2は「府立高校での実践的指導の要請」への対応がもたらした効果である。大阪府教育委員会では、実業系の府立高校の生徒がものづくり人材として活躍できるよう、地域の企業と連携した授業を企画しており、当社はこの企画に6年間参加している。

授業には、技術職員2名と工場の職員1名を派遣し、水道管の補修技術やメンテナンス等について実践的な指導をしている。毎年、実習を受けた生徒のなかから数名が、明確な志望動機を持って当社の入社試験を受けてくれるようになっている。

こうした高校生を対象とした取り組みに加えて、3~15歳の子どもを対象とした職業・社会体験型施設である「キッザニア甲子園」へ、水道界から唯一出展し、幼少期から、水道への関心を涵養できる機会を設けている。将来、水道界に進路を定める人材が現れれば望外の喜びである。

【労働政策本部】