Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年2月4日 No.3256  「今次労使交渉に臨む方針」 -第119回経団連労使フォーラム

経団連と経団連事業サービスは1月25、26の両日、東京・大手町の経団連会館で「第119回経団連労使フォーラム」を開催した(前号既報)。フォーラム2日目には、「今次労使交渉に臨む方針」と題して、産別労組リーダー、企業労務担当役員による講演が行われた。

■ 電機連合/有野正治委員長

有野氏

電機連合委員長の有野氏は、「将来不安、雇用不安、生活不安」を確実に払拭し、人への投資を図ることで電機産業の持続的成長と「経済の好循環を実現する」との方針のもと、具体的な統一要求基準として、開発・設計職基幹労働者の基準賃金について、賃金体系の維持を図ったうえで、3000円以上引き上げるとともに、ワーク・ライフ・バランスの実現やすべての労働者がいきいきと働ける職場環境の実現を目指すとした。また、産業内での業績のバラツキが大きくなるなか、「各組合が業績や処遇実態を踏まえ、主体的に処遇改善に取り組む領域」に取り組むために設定した「政策指標」「ベンチマーク指標」を踏まえ、格差是正などの取り組みを労使で推進していくと説明した。

■ 自動車総連/相原康伸会長

相原氏

自動車総連会長の相原氏は、自動車総連全体が結集し、一体感ある取り組みを進めることで全体の底上げを図っていくとの考えのもと、すべての組合で3000円以上の賃金改善分を設定したと説明。期間従業員など直接雇用の非正規労働者についても、正規労働者と連動してボリュームアップを実現する観点から、賃金改善分を設定すると述べた。また、企業収益のバラツキや格差拡大といった課題が顕在化しているとして、自動車産業の基盤を支える中堅・中小企業の底上げを図る観点から、(1)付加価値の最大化(2)付加価値の適正評価(3)協力強化による健全な改善――を切り口として、付加価値を自動車産業のバリューチェーンに循環させるための運動を展開していくと表明した。

■ UAゼンセン/島田尚信会長代行・副会長

島田氏

UAゼンセン会長代行・副会長の島田氏は、経済の先行きに不透明感が広がるなか、デフレ脱却を確実に図る観点から、継続的な賃金引き上げが必要と述べ、賃金体系維持分に加え2%基準の賃金引き上げを基本としつつ、(1)ミニマム水準未達組合(2)到達水準未達組合(3)到達水準以上組合――の3つの要求基準を設定すると説明。一方、短時間組合員については、正社員組合員と同様に賃金体系維持分に加え2%基準の賃金引き上げを要求することを基本に、法定最低賃金の全国加重平均2.3%の引き上げに留意し、格差是正の観点を踏まえ、可能な場合は積極的に上乗せの要求を行うとした。また、賃金とともに退職金、一時金などを含めた処遇改善が重要との考えを示した。

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これに対し、新日鐵住金常務執行役員の佐藤博恒氏、パナソニック常務取締役の石井純氏、アステラス製薬執行役員人事部長の櫻井文昭氏の3氏が、業界を取り巻く状況や各社の人事・労務上の課題と取り組みなどを説明したうえで、今次労使交渉に臨む経営側の方針について言及。イノベーションの創出、働き方改革を通じた生産性向上、グローバル競争下の持続的成長に向けた人材戦略と人・組織づくりなど、さまざまな観点から労使で議論を深め、認識を共有していくことの重要性を指摘した。

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